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信州の里山トレッキング  東北信編

林 盛幸著 A5判223P オールカラー 2015年7月発行 1600円(税別)

 咲き競う花々や可憐な蝶、知られざる植物や昆虫、信州ならではの大パノラマ、山城に残る戦国武将の夢の跡、里人と山のかかわり等々、里山トレッキングの魅力のすべてを長野県認定「信州  山の達人」が余すところなく紹介します。発見や驚愕に満ちたコラムも満載!

 お勧めの38山、74コース。絶滅危惧種を含む花々145枚、写真総数668枚。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆本文・構成◆

【高社山】修験の岩山を包む可憐な花々 (高杜神社コース)⇒サンプル

【雁田山】大岩や城跡を越えて見る北信五岳の大パノラマ(岩松院コース/辷り山コース)

【米子大瀑布】切り立った岸壁と3つの滝による豪快なパノラマ(不動滝コース/米子硫黄鉱山跡コース)

【飯縄山(飯綱山)】飯縄権現の山岳信仰と高山植物のお花畑(一の鳥居・南登山道コース/中社・西登山道コース/中社・瑪瑙山コース)

【髻山】謙信ゆかりの多くの旧跡と花の山(県道コース/林道コース)

【虫倉山】水神や巨岩・洞窟の信仰を集める霊峰(さるすべりコース/不動滝コース)

【茶臼山】恐竜公園から中尾山まで親しみやすいコース(恐竜公園コース/中尾山・一本松コース /中尾山・小松原コース/旗塚コース)

【尼巌山】「天の岩戸」の神話と息をのむ展望(天王山コース/岩沢・笹ノ登コース/岩沢・天の岩戸コース)

【奇妙山】険しい修験の岩山が見せる荘厳美と安穏(岩沢・笹ノ登~北尾根コース/清滝・林道東豊線コース/清滝・滝上コース)

【ノロシ山】武田軍の狼煙山と真田家ゆかりの白鳥神社(舞鶴山コース)

【斎場山】改名に翻弄された古代科野国由来の里山(妻女山コース/薬師山コース)⇒サンプル

【鞍骨山】甦る戦国時代の天空の山城と抜群の眺望(妻女山コース/唐崎山コース/鷲尾山コース/象山コース)

【御姫山・大嵐山】稜線歩きが楽しめる「戸神山脈」の里山(鷲尾山コース)

【大峯山】あんずの里を包み込む植生豊かな里山(観龍寺・林道夕日山線コース/観龍寺・西尾根コース/県山コース)

【鏡台山】姨捨山の陰で無名ながらも圧倒的スケール感(倉科コース/沢山峠コース/和平コース/三滝園地・三滝沢コース/三滝園地・三滝尾根コース)

【冠着山(姨捨山)】神話の名山に復活した雄大な展望コース(鳥居平コース/坊城平コース/佐良志奈神社コース)⇒サンプル

【根子岳】花の山としての優しさと爆裂火口の荒々しさ(菅平牧場コース/米子大瀑布コース)

【四阿山】真田の山伏たちが苦行に駆け回った修験の名峰(菅平牧場・中尾根コース/四阿山カルデラ周回コース)

【大松山】ゲレンデに咲き競う花々と多様な植物(アルペンコース/アルプスコース)

【烏帽子岳】高山植物が豊富なファミリー登山のメッカ(地蔵峠コース)

 

【水ノ塔山・東篭ノ登山・西篭ノ登山】2000m級の花の三山を日帰りで縦走(縦走コース)⇒サンプル

【黒斑山】浅間山外輪山の最高峰は花と昆虫のオアシス(表コース/中コース)

【太郎山】歴史と伝説に根ざす上田市民のシンボル(表参道コース/裏参道コース)

【虚空蔵山】険しい断崖にひそむ虚空蔵信仰と山城の歴史(秋和コース/下塩尻コース)

【葛尾山】村上義清の居城からの見事な鳥瞰(近道コース/飯綱山コース)

【五里ヶ峯】山本勘助の軍道を含む充実の縦走コース(葛尾山コース/沢山峠コース/五一山脈コース)⇒サンプル

【大林山(氷沢山)】ゆったり大きな山容と北アルプスの大展望(ぼんぼんの平コース/清水神社林・九竜山コース)

【子檀嶺岳】馬産と北条氏の栄華を伝える霊山にして山城(当郷管社コース/村松西洞コース)

【独鈷山】信州の鎌倉、塩田平を見下ろす険しい修験の霊峰(西前山コース/沢山湖コース)

【聖山】北アルプスから八ヶ岳まで360度の大パノラマ(三和峠コース/聖山パノラマホテルコース)

【三峯山】黄葉と紅葉が映える整備されたコース(聖湖コース/大池コース)

【大姥山】金太郎伝説の大穴と硬軟コースのバラエティー(大姥神社コース/山姥の滝コース)

【京ヶ倉・大城】低山ながらも山城の厳しさと古道の趣き(こや城・京ヶ倉コース/眠り峠・大城コース)⇒サンプル

【蓼科山】岩塊だらけの険しさと女神のような優しさ(御泉水コース)⇒サンプル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

◆コラム◆

小さな虫がつくる偽のリンゴ

怪しくも美しい「粘菌」も宇宙船地球号の乗組員

美味しいキノコと猛毒キノコが存在する理由

初夏の森で見つけた樹液酵母の酒場

100キロを旅して来たウスバカゲロウの卵

「森の哲人」ニホンカモシカの好奇心 

猫にマタタビ、月輪熊に石油 

イカリモンガってなにもんだ

オオムラサキの悲劇

みすずかる信濃の国の鉄バクテリアがずくを出す

  

◆林 盛幸(はやし・もりゆき)◆

ナチュラリスト・ネイチャーフォトグラファー・郷土史研究家・新信州

郷土料理研究家。在京中は、編集アートディレクターとして、多岐にわ

たるクライアントの仕事に従事。2008年に帰郷してからは、ウェブデ

ィレクションや企業コンサルタント、企画編集などをこなす傍ら、里山

保全やネイチャーフォトの撮影をする。長野県より「山の達人」のひと

りに選ばれる。長野県シニア大学長野学部講師。ホームページ「CAPI

NO」とブログ「モリモリキッズ」主宰。長野市在住。

  

  

  

 

  

  

森を育てる技術 

内田健一著 A5判 421P 2800円(税別) 2007年7月初版/2015年3月3刷

理論と実践が乖離してバーチャル化が進む日本の森づくり――。

本書は新旧の知見とプロの技術を初めて本格的に統合。

安全・効率的な森林技術の集大成!

市民および関係者に向けた森林技術書の決定版!

 

第1部●基礎編(市民向け)

1 森を育てるということ

2 安全な作業のために

3 刃物の仕立てと取り扱い

4 造林作業

5 樹木と木材

6 森の測量

7 森の診断(森林調査)と施業計画

第2部●応用編(関係者向け)

8 チェーンソーと刈払機

9 間伐作業

10 木材の収穫技術

11 森で働くということ

 

→目次の詳細とページ見本

→新聞・雑誌の書評

 

●あとがきより

(前略)この本を自分なりに評価してみれば、次のような特徴を持っていると言えるだろう。

 第一に、学問的な知識と肉体労働的な技術を本格的に統合した技術書、それもプロの使用にも耐えるものとしては、おそらく日本で初めての実践的な森の技術書である。

 これまで、学問分野の専門家が書いた教科書的な専門書のなかでは、本格的に肉体労働的な技術に踏み込んだものは見られなかった。

 逆に、実践的な技術を紹介した書物のほとんどは、市民ボランティアを主な対象としており、プロの使用に耐える書物はなかったのだ。

 第二に、植林のような森の始まりから、木材収穫のような成熟した森の姿までを、一人で解説した技術書としても、日本では数例目になると思う。

 これまでも、幅広い視点で教科書的に取りまとめられた技術書がいくつか提案されている。しかしそのほとんどは、多くの専門家が集まって分業的に書かれたものであって、一人の人間が最初から最後まで語り尽くしたような森の技術書はきわめてまれだ。

 もちろん、多くの知見を集めて提示することには大きな意味があるし、内容も高度なものが期待できる。

 しかし、個別に専門化しすぎてしまった森の学問分野が、実際の作業現場とひどく乖離してしまっている日本では、長期的で複雑な森の技術を、一人の視点で切り取ることにも、やはり大きな意味がある。

 実際の作業現場で働く者や森林所有者にとっては、個別に深い専門的知識よりも、個々の技術の関連性を意識した一貫した技術体系の方が知りたいからだ。

 それは、森に関心のある市民や森を学ぶ学生などにとっても同様のはずだ。そのようなごく当たり前の要求に応えられそうな技術書も、これまで日本では見あたらなかった。

 

(中略)技術や考え方は、常に時代の状況によって更新され、磨かれてゆくべき性質のものなのだ。

 もちろん、私自身の技術や考え方も、これまでもずっと変化や更新を繰り返してきた。だから今後も、更新や変化を続けてゆくだろう。それでも、今の時点での技術や考え方を、私なりに切り取って提案することには、それなりの意味がある。

 今の日本のように、森林や林業を取り巻く技術が混沌とした状況のなかでは、まずは誰かが、ベースとなるたたき台を用意する必要がある。誰かが基本的な技術や考え方を提案すれば、それに改良を加えてゆく作業はずっとたやすいことなのだ。

 なお、本書の中で紹介した技術には、私が岐阜県立森林文化アカデミーの教官をしていた当時に、研究室の学生諸君や地域の森林所有者と共に考えたものが数多く含まれている。

 その意味では、確かに本書は私一人の視点から書き上げたものだけれど、その基になっている考え方は、当時の学生諸君や快く実習林を提供してくれた地域の方々と共同で作りあげたものでもある。

 今は、全国各地の林業現場で毎日汗を流して頑張っている当時の仲間達に、改めて感謝するとともに、心より熱い応援のエールを送りたい。(後略)

 

●読者の声(読者カードより)

現代の「林業全書」と称するべきものと思う。林業に関する人々の唯一無二の教科書だ。現業・技術・思想哲学が三位一体となった書だ。また、林業技術者の意欲と矜持を与える書でもある。アドバンス版(改訂版)の執筆も期待したい。現業を熟知して描かれた分かりやすいスケッチも素敵である。(奈良県五條市・Y様)

 

●内田健一(うちだ・けんいち)プロフィール●

1967年神奈川県生まれ。信州大学農学部林学科卒。森林開発公団職員を辞め、信州大学大学院修士課程修了。伐採業者、森林組合の作業員を経て信州伊那谷で林業の親方として独立。2001年岐阜県立森林文化アカデミー講師、同助教授を経て2005年退職。現在はフリーの立場で森林林業問題の研究執筆活動を行なう。信州大学山岳会OBでブロードピーク登頂、ラトナチュリ初登頂などの登山記録を持つ。 

 

「信州の里山トレッキング」表紙
飯縄山
コラム「粘菌」
烏帽子岳
「森を育てる技術」表紙
「山造り承ります」表紙

増補版  山造り承ります

島崎洋路著 四六判 257p 1650円(税別)1999年12月初刷・2005年2月5刷/2010年8月増補版

 手入れ不足により日本の森林の7~8割はモヤシ状態。

 待ったなしの惨状にその道50年の実践者が現場から緊急提言!

 一貫して山造りは「やればできること」だと訴えてきた著者は初版発行後を振り返り、「この10年の間に改まるどころか問題の深刻さはただならぬ気配さえ感じられる」という。国有林・公有林等の負債は数兆円にのぼり、莫大な国民負担が避けられないにもかかわらず、根本的な議論が滞る。こうした状況に一石を投ずべく、今回「エピローグ 林政立て直しの道筋」を増補。国有林・公有林・私有林に分けて現況と問題の所在を明らかにし、早急な要員の育成確保を訴える。

 

プロローグ  再生への願い……世界の状況と日本/森林荒廃の背景/再生に向けて

第1章  山を担うべき人……弱体化する森林所有者と林業労働力/まず問われる零細所有者の責任/焦点不明な後継者育成/伐出の担い手/森林組合の現状と課題/林務関係者へ

第2章  山造り承ります……KOA森林塾/島崎山林研修所(山林塾)/駒ヶ根モデル山守り/サンデー山守り/愉快な山仕事/ネパール植林ボランティア

第3章  逆風を越えて……膨大な手入れ不足/拡大造林の功罪/外材インパクト/材価の低迷/伐期齢の引き下げ/密度理論と高密度管理/モヤシ・クライ/金太郎飴/混交林化/大径木の育成/市場に乗りにくい中小径材/ミニ製材・薪・炭に光明

第4章  山造り入門……樹木の名前/材の特性/山の知識・知恵/四季の山仕事/山造りは手間いらず/切れる道具と切れない道具/小型機械類の重要性/林道は山の動脈/歩道(径路)の役割/測樹・測量/林木の成長/除伐の本来の意味/枝打ち/密度の基準は「高さの二〇%」/列状間伐/保残木マーク法/(補足)保残木マーク法による間伐の手順

エピローグ 林政立て直しの道筋(増補)……国有林・公有林・私有林の現況/50億立方メートルに及ぶ森林蓄積/1000万ヘクタールに15万人の投入を/伐出要員10万人の育成確保/国有林の解体的出直しを/分収造林・分収育林の課題/日本林政の抜本的な見直し

 

ー「あとがき」よりー

 唯一日本人が胸を張って世界に向かって誇ることができる緑の資産、日本の森林はいま荒廃の危機にさらされている。恵まれた生育環境にありながら、必要な人手が加えられていないからだ。(中略)

 執筆のひとつの目的であった「日本の森林や林業の実態」については、もっと理詰めでなければならなかったが、私の才の及ぶところではなく、大方は心情的な記述にとどまってしまった。また、私の信条である「山造りはやればできること」も、小見出しが雑多になって、蛇足や寸足らずばかりが目立ち、つたない私の真意が伝えられたかどうか心もとない。

 願わくば、読者諸賢のお力をかりて、それぞれが主体となって、一見たわわに眺められる日本の山の本当の姿を、そしてこの恵まれた自然と対峙していかなければならない日本人の心根を、一人でも多くの人々に見据えていただきたいと思います。せめて5年、10年先頃には、格段に健やかになった山の中で、生きている喜びを分かち合いたいものです。

 なお、記述のなか、森林所有者や森林組合、行政の方々には、私の偏見も含めて不遜な言辞や提言も弄させていただきましたが、かけがえのない人類の資産を育む仲間の一人として、ご容赦をいただきたい。

「日本・アジアの森林と林業労働」表紙
「千曲川への遺言」表紙
日本・アジアの森林と林業労働
信州大学森林政策学研究会編 小池正雄・三木敦朗監修 
A5判335P 2000円(税別) 2013年9月26日初版
 
グローバル化の中で日本と周辺諸国の多様性を保つ森林管理とは――
「人間らしい林業労働」とは――
労働現場に立脚した国内11編、アジア12編の2部構成。
  
1 日本の森林と林業労働
世界と日本における人間らしい林業労働(菊間 満 山形大学農学部教授)
世界の林業労働の課題/ディーセント・ワークへの取り組み/NWFPの森林とインフォーマルな労働/日本の林業労働の課題と解決方向
日本における現場の林業労働者と能力育成(枚田邦宏 鹿児島大学農学部准教授)
林業労働者と技術者/第二次世界大戦後の林業と林業労働/人工林成熟期における新たな動き/生産現場に関わる人材の能力と育成 
林業労働対策としての「緑の雇用」施策(奥山洋一郎 愛媛大学農学部助教)
「緑の雇用」施策とは/鹿児島県の取り組み事例/林業労働対策の中での「緑の雇用」施策の位置づけ
戦後拡大造林政策と21世紀型森林管理(小池正雄 信州大学名誉教授)
戦後造林政策の歴史と背景/拡大造林が残したもの/コメ減反との大きな関わり/予定調和論の管理/グローバル化と財政赤字の中で 
森林管理労働者の確保育成政策(小池正雄)
「組」組織からみる森林管理/戦前期/戦後復興期/基本法林政期/森林・林業基本法林政期/森林林業再生プランと森林管理労働者/状況変化の中での「組」 
ドイツ・日本における大型製材工場の課題と可能性( ステフェン・ハーバーボッシュ 都築木材ヨーロッパ営業所長&小池正雄)
持続的再生産のために/大型製材工場の存在形態/ドイツの大型製材工場/我が国大型製材工場の課題/
林業創世長野プロジェクトと21世紀型森林管理(小池正雄)
材価下落時の間伐材をどうするか/「林業創世長野」の木質バイオマス発電/固定価格買い取り制度と木質バイオマス発電/資源を食い潰さない二一世紀型森林管理 
獣害激増の背景・実態と緊急対策(小池正雄)
ある早朝の光景/野生生物激増の歴史的背景/農林地被害の実態/シカの個体数激増の要因について/野生生物と人間の共生 
再定立が必要な焼畑の農法的意味(加藤光一 信州大学農学部教授)
焼畑の環境学的アプローチ/「農法」としての本来的な意味/いわゆる加用「農法」論の意味 
「やま」の兼業的・自給的利用(三木敦朗 信州大学農学部助教)
非木材林産物の採取と栽培――根羽村の事例/近代化路線と森林利用・経営の多様性/多様性の認識 
長野県茅野市にみる財産区制度の特殊性(古谷健司 信州大学総合工学系研究科博士課程)
変容する入会林野・財産区/茅野市財産区の概要/入会山の変遷と町村合併時の町村との関わり/「公」と「共」の二つの側面/社会・経済情勢の変化と財産区 
  
2 アジアの森林と林業労働
インドネシア南スラウェシ州カカオ農民の生存戦略(西嶋謙冶 京都大学東南アジア研究センター博士課程)
カカオ生産のリスクと対処/カカオの生態的特徴とカカオサイクル/スラウェシにおけるカカオ生産/南スラウェシ州パロポ市ムンカジャン郡での事例/調査世帯の所得からの分析/結論――カカオ農民の生存戦略 
アブラヤシ農園開発にゆらぐボルネオ焼畑民(寺内大左 日本学術振興会特別研究員=東京大学大学院総合文化研究科)
熱帯林の減少とアブラヤシ農園開発/アブラヤシ農園開発とアブラヤシ生産の特徴/アブラヤシ農園開発に直面した村人の思いと対応/アブラヤシ農園開発の危険性/ベシ村の事例から得られる教訓と今後の対応策 
バングラデシュ少数民族「カシ族」の森林利用(モハメド・ヌア サバ大学助教授)
カシ族の概要と調査対象/カシ族が直面する問題/村内での搾取――見えない抗争/少数民族の社会的安定のために 
木質バイオマス燃料の不足と地域住民(モハマド・ダネシュ・ミア  チッタゴン大学教授)
木材燃料の利用価値と弊害/メグナ氾濫平野地域の概況/教育程度と家族数による対応の違い 
自然保護区での協同管理を通じたコミュニティの発展(シャヘード・ホサイン・チョードリー 日本学術振興会外国人特別研究員)
人間が居住する自然保護区/レマ・カレンガ野生動物保護区/破壊者から育成者へ/職員の変化と女性の参加/今後の課題 
カンボジアにおける熱帯林からの歳入額の推計(キム・ソファナリット カンボジア政府財務省上級職員)
森林からの歳入の推計/結果と解説/森林歳入改善のための見通し 
地球温暖化防止のために何をもって「森林劣化」とするか(佐々木ノピア 兵庫県立大学大学院准教授)
森林の「減少」と「劣化」/現在の「森林」の定義の更新・改善/「森林劣化」の共通定義の必要性/森林劣化の除外/責任ある森林管理へ 
イエローストーンと上高地にみる国立公園の保護と活用(トマス・E・ジョーンズ 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科 特任講師)
保護区と国立公園/上高地――中部山岳国立公園の入口/国立公園の概念のはじまり/合衆国の国立公園のシステム化/レクリエーションのための公園の活用/合衆国の国立公園ブランドの確立/上高地への提案 
中国神農架林区におけるエコツーリズム(胡 蝶 前信州大学アソシエイト研究員)
エコツーリズムの目的/神農架林区の概況/エコツーリズムの到達点/エコツーリズムの意義と限界 
時代の要請に対応する中国の森林計画(鄭小賢 北京林業大学林学院教授)
不足する森林資源/中国の森林資源管理体系/中国の森林計画制度 
中国における森林認証の現状と問題点(馬夢瑶 信州大学アソシエイト研究員)
政府・民間の積極的な取り組み/森林認証の中国における展開/各調査地の概況と認証経緯/森林認証取得の効果/認証の問題点/今後の課題 
中国における家具産業クラスターの発展(陸薇 中国軽工業情報センター主任研究員)
家具産業クラスター展開の沿革/産業クラスターの展開の現状/産業クラスターの新たな注目点/産業クラスターの展開方向/大涌鎮におけるマホガニー家具産業クラスターの事例/大涌における家具産業クラスターの発展戦略
  
  

  

千曲川への遺言 ~河川環境の回復と水害防止を願って~

中沢勇(浅川・千曲川等治水対策会議会長)著  A5判127P 1200円(税別) 2013年7月初版

 

なぜ水害のリスクが増大し、サケが戻らないのか! 

 この100年間における人間の関与によって千曲川・犀川はその姿を大きく変え、水害のリスクが徐々に高まっている。流域に降る雨水の集中化、河川敷利用の変化、河幅を狭めた築堤と堤防の未整備など諸々の要因が関係するが、とりわけ支流の砂防堰堤と本流のダムが河床の状況を変えて洪水水位を高くしている。近年、ダム魚道の改修によって再び話題となったサケの遡上も、根本の阻害要因はダムにある。

 本書は、千曲川と浅川を中心に治水問題に取り組む著者が、河川環境の回復と水害の防止を願って、千曲川水系の諸問題とその解決策を十数年にわたるフィールドワークによって明らかにする。 

  

第1章 サケの回帰という夢

なぜサケは戻らないのか/放流された稚魚は海にたどりつけるのか/成長したサケが放流地点まで遡上できるのか/壁を越えられるか 

第2章 病める千曲川

大河千曲川の姿/千曲川氾濫の歴史/災害に関する地理的特性と自然条件/人の関与による影響/河川整備計画の実現性 

第3章 西大滝ダムの影響

西大滝ダムの成り立ち/洪水水位の上昇と堆砂/東京電力の姿勢と河川法上の問題/国と長野県の姿勢/目指すべきは西大滝ダムの撤去 

第4章 防災と安全のために

東日本大震災の教訓/危機管理=現実的な避難対策/地域防災計画を実のあるものに/土地利用の変化と都市化/減災への住民参加 

第5章 浅川ダムへの遺言

浅川流域の概要と浅川ダム/非現実的な基本高水流量/崩れやすい地質と活断層/穴詰まりの危険性 

第6章 その他のダム問題

長野県の姿勢が問われる水内ダム/大町ダムの洪水調節を適正に/堆砂バイパストンネルという莫大な無駄遣い

  

  

「回復の森」表紙
「森林サイエンス2」表紙
「ダム災害との闘い」表紙
ダム災害との闘い ~地域に禍根を残す水内ダム~ 

中沢徳繁著 A5判179P 1500円(税別) 2010年2月26日初版

 

 戦時下の電源開発で水内(みのち)ダムの建設が強行されて以来、昭和20年と58年の大水害をはじめ、平成に入っても水害と避難勧告が止まらない長野市信州新町。本書はその原因が水内ダムにあるとする地元住民と、ダムは無関係とする東京電力、および河川管理を担う長野県との間における原因究明と補償交渉、水害対策の記録である。

 大企業を相手に素人集団の住民が学習と調査を重ねて、データの隠蔽や捏造、対策の放置などの問題を交渉の場で一つずつ検証して改善を迫っていく。生命を失い安全を脅かされた住民たちの、執念の追及である。

 事業者の対応もさることながら、昨今話題となる二重行政もこの問題の根底に横たわっている。犀川の管理は県が国(関東地方整備局)から委託を受け、水内ダムと貯水池の検査・監督は国(北陸地方整備局)が行う構造であり、ここでは三重行政(国二機関+県)となっている。

 さらに既存ダムの老朽化という今後各地で起こり得る重い課題も突きつけている。信州新町では70年にわたり苦悩を受忍してきたが、補償交渉と水害対策の妥結で問題が終わったわけではない。一度建設されたダムとの関わりは、きわめて長い時間に及ぶ。

 

第1章 水内ダム前史

ダムに埋め尽くされた犀川/水内ダム計画と善光寺地震の記憶/計画変更の陳情と牧野島発電所の中止 /立ち上がった村民/計画申請と修正許可/苦悩する村長/戦時下の突貫工事/堤防切り下げ買収事件 

第2章 頻発するダム災害

ダム完成と同時に水害発生/20年水害と厳達命令/疫病の発生/水利権更新闘争/絶対反対から後退の町当局/クレスト切り下げ論争と41年再協定/犠牲となった幼い命/58年大水害/終わらないダム災害 

第3章 解明された水害原因

補償交渉の論戦/科学的に証明せよという東京電力の要求/学者の間違いと内容撤回/経験工学の位置づけ/同盟会の反撃/ダム原因説の要旨/補償金の解決と念書 

第4章 東京電力の奇説

久米路峡セキ上げへの責任転嫁/奇説(1)久米路峡の岩は伸び縮みする/奇説(2)水内ダムに堆砂はない/奇説(3)昭和7年出水記録の否定/資料の改ざんと捏造 

第5章 災害と不正の背景

信用できない模型実験/水路トンネルの効果は疑問/ダム公害への公費負担/長野県がダム対策を実施しない理由/粗雑なダムの監督検査体制/大企業の横暴と事故隠し体質/構造令違反の堤防/報道された水力・原発関係の不祥事/指定区間制の問題点/二重管理で責任のなすり合い 

第6章 水害根絶へ向けて

老朽化した欠陥ダム/62年協定書の不備と欠陥/焦点はクレスト切り下げ/行政当局の迷走/62年協定の変更再協定/呪縛からの脱却を 

  

  

「森づくりの明暗」表紙

森づくりの明暗 ~スウェーデン・オーストリアと日本~

内田健一著 四六判 309P 1600円(税別) 2006年5月初版

日本の「森づくり」に足りないものは? 機械化か? 伐出技術か? 実践教育か? 行政職員の資質か?

最大の欠陥は意識と思想だ!

 信州伊那谷の「きこり」の親方が、2001年、恩師でもある島崎洋路氏と共に岐阜県立森林文化アカデミーの教官に着任。プロレベルの現場きこり技術と大卒レベル以上の森林学の知識を両立させるための研究室「森づくり塾」を開講した。

 その異端教官と学生達が機械化林業の指針とされるスウェーデンとオーストリアへの研修に旅立った。企業や森林組合など担い手の存立基盤、機械化の背景と林業技術、教育システムから意識や思想に至るまで両国の実情をレポートしながら、同時に日本の森林に山積する問題点を総ざらいして、日本の「森づくり」の未来を深く洞察する。

 

第1章 スウェーデンの森

森づくり塾/スウェーデンからの研修生/先発隊/鳥のための木/二四時間三交代の機械化林業/製紙工場/農林高校の実践教育/林学と林業現場 

第2章 日本vs スウェーデン

スウェーデン森林局と日本の林野行政/ボランティア幻想/森林組合もここまで違う/アカマツ伐採現場/ザリガニ・パーティー/木材の搬出技術と杣道具 

第3章 教養と肉体労働の森

森の日/学校教育と農林業の乖離/大学教育システム/森林認証制度/山焼き/バイオマス先進国 

第4章 オーストリアの森

ウィーンへ/告白/水の森/森林博物館 

終章 森の時間とともに

もうひとつの森づくり塾 

 

―本文より―

 日本で、森林の適切な手入れが進まない大きな理由の一つが、木材価格が安くて林業が儲からないからだという話をよく聞く。(中略)確実に儲かる行為しかしたくないのなら、林業など最初から誰にもできない仕事だろう。

 確かに現在、スウェーデンの林業はうまくいっている。だから日本もスウェーデン並みに機械化林業を行なえば上手くいくだろうと役人や学者の多くが思っている。

 しかし考えてもらいたい。スウェーデンでも40~50年前までは、斧とノコギリで樹木を伐採し、橇や水運を使って木材を運んでいたのだ。その当時の技術水準は、日本と変わらないか、日本の方が若干リードさえしていたのだ。

 そして、皆伐作業を基本とするスウェーデン林業の伐期は短くても70年、長ければ140年だ。それだけかかって日本の40、50年生の樹木と同じ大きさに成長するのだ。だから、今現在スウェーデンで生産されている木材のほとんどは、斧とノコギリの時代から植林され、適切に間伐されて生育してきたものなのだ。

 そうした流れの中で、スウェーデンでは自国の状況に合った技術を自ら開発し、そのために必要な人材を養成して、地道に今日まで努力を重ねてきた。その成果が現在の状況になっているのだ。

 残念ながら日本には、真に社会に有用な、本物の森林技術者を育てる公的なシステムはまだ確立されていないと思う。また、仮にそのような技術者が輩出されたとしても、その能力を生かしきる職場が日本にはほとんど存在しない。日本には事務系技術者と現場作業員の間に深い溝があり、仕事の場所はそのどちらかにしかないのだ。

 役人と学者達の姿にも問題が多いだろう。林業現場とまともに向き合うことが苦手な者が主流なのだ。ある意味では、こんな日本で林業が上手くいくほうがおかしい。日本で林業は上手くいかなくてまったく当然で、この状況のままスウェーデン流の機械化林業などを推進しても上手くいく訳がない。

 

 最近の日本社会は、目先の利益のみを追い求める、実に粗雑で幼稚な社会になってきたようだ。(中略)毎年、前年より多くの成長を望むような社会では、林業は最初からその目的を達することのできない産業なのだ。将来もずっと、今と同じだけの収入が得られればそれでいいとする社会でしか、本質的に林業のような行為は成り立たない。

 これはある意味、社会の目指す方向性、無意識に国民が共有している思想や哲学の問題でもあるのだろう。最近の日本では少子化が進んでいる。唐突だが、林業のような産業が日本で上手くいかないことと、少子化の進行には、背後に共通の社会状況があるのではないかと私は思っている。(中略)

 

 結局、所有する山林の手入れができない人や、子供をつくらない決断をする人が増えてきた理由は、自分の人生は自分一代だけの個人的なものであり、当然、それをどう料理するかも個人的な問題だと認識する人が増えてきた結果ではないだろうか。

 各個人の、一人生間の経済的収支を優先して考えれば、林業や育児への投資は明らかなマイナス要素だ。森を育てることも子供を育てることも、同じように金や手間がかかるけれど、その金や行為の見返りを出資者個人が明確に期待できない点がよく似ているからだ。(中略)

 

 スウェーデンでは一時の少子化の動きを克服したそうだ。なるほど、あの国ならば少子化くらい克服可能だろう。この問題の半分は社会制度の問題だが、半分は思想の問題だ。あんなに森を大切にする国民達が、子供を育てることが嫌いなはずがない。

 林業も、半分は制度や技術の問題だ。今の日本は、私の視点からすれば制度も技術もひどくレベルが低いから、この点は改良を提案していかなくてはならない。しかし、もう半分は思想や意識の問題で、この変革は簡単な話ではない。日本人が本気で森を育てていくためのハードルは、相当に高いのかも知れない。

 

●内田健一(うちだ・けんいち)プロフィール●

1967年神奈川県生まれ。信州大学農学部林学科卒。森林開発公団職員を辞め、信州大学大学院修士課程修了。伐採業者、森林組合の作業員を経て信州伊那谷で林業の親方として独立。2001年岐阜県立森林文化アカデミー講師、同助教授を経て2005年退職。現在はフリーの立場で森林林業問題の研究執筆活動を行なう。信州大学山岳会OBでブロードピーク登頂、ラトナチュリ初登頂などの登山記録を持つ。

  

回復の森 ~人・地域・森を回復させる森林保健活動~

上原巌監修/日本森林保健学会編  四六判245P 1600円(税別) 2012年4月17日初版

  

 景気低迷や大災害の発生、地域コミュニティの衰退などにより、現在多くの人が将来に不安を感じており、心身の安定とケアを求める人は少なくない。森林にはその環境を利用したリハビリ効果、保健休養効果、心理的効果、療育効果など、人の心身の健康に寄与する保健機能が備わっている。本書は医療・福祉・教育の分野における「森林保健活動」の事例を紹介しながら、働き盛りの人々の保健休養にも言及する。

 高齢化率43%の長野県北相木村では、村で最も人が集まる診療所を村づくりの拠点とするべく森林保健活動を導入。本来その地に生えていた木(潜在植生)を植樹することで精神の回復にもつなげる「託林」(命を託す意)や、昔の思い出話をすることによって認知症患者の大脳の神経活動が活性化され、生活行動レベルの維持などに効果がある「森林回想法」(心理療法)を実践。森の中で腰を下ろして回想する他、散策や軽作業によっていきいきとした表情を見せたり、感情的な落ち着きを取り戻す事例が報告される。

 この他、認知症症状や周辺症状に大きな改善が見られた鹿児島県の霧島桜ヶ丘病院、「森林ウォーキング」によって町をあげて高血圧の予防(自律神経のバランス改善)につなげる森林療法に取り組んだ北海道中頓別町、長野県下伊那郡松川町にある山間部の知的障がい者施設における療育活動、全国に広がる「森の幼稚園」などの事例を紹介。手入れが必要な森林が増加する今日、人と森が共に健康になり、地域コミュニティの再形成にもつながる森林保健活動は、人と森の関係をつなぎ直す試みでもある。

 

森林保健活動の可能性と課題(上原巌・東京農業大学森林総合科学科教授)

人と森の健康/「森林療法」とは何か/森林浴と森林療法の違い/地域における「森林保健活動」へ/地域住民置き去りの地域振興も/福祉・医療・教育分野と健康増進/問題の多いリゾート型地域振興策/学術的研究成果と課題/長期的な実践と臨床データの蓄積 

 

第1部 事例編 ──────────────────────────────────────

村の診療所が取り組む地域住民対象の森林保健活動(松橋和彦・長野県北相木村診療所所長) 

衰退する山村/放置されるカラマツ林/森林の保健機能/人と情報が集まる診療所を村の拠点に/NPO法人北相木りんねの森の設立/反リゾートとしての「森林保健」/命を託す「託林(たくりん)」の試み

/元気の素を生み出す「森林回想法」/心の傷を昇華させたMさん/森林保健活動と参加者の起居移動動作レベル

 

認知症患者の症状改善やストレス発散に大きな効果(出水毅・鹿児島県霧島桜ヶ丘病院 森林保健活動委員会) 

七割の入院患者が認知症/森林保健活動との出会い/森林保健活動の態勢と手順/森林保健活動による患者の変化/森林内での焚き火の効果/患者全員への提供や地域住民への呼びかけ

 

身近な森林環境と人の健康との関わり(瀧澤紫織・北海道苫小牧市 植苗病院精神科医)

植苗病院の森林散策活動/子どもと「身近な森」/高齢者や壮年期と身近な自然/自然環境を基盤としたコミュニティと健康/自然環境とメンタルヘルス――イギリスの「マインド」/東日本大震災の教訓

 

山間部の知的障がい者施設における野外療育(上原巌・東京農業大学森林総合科学科教授)  

重度知的障がい者が入所する「親愛の里松川」/施設における療育方針と療育目的/野外活動を通じた地域との交流/暴力が減少し利他行為に発展したAさん/発作が減少しコミュニケーションが向上したBさん/多飲多食が収まり思いやりが芽生えたCさん/施設建物内と山林内における脳波(α波)比較測定/知的障がい者施設における今後の展開

 

想像力と創造力を育む森の幼稚園(織田敦子・森のようちえん「ねっこぼっこ」園長)

森の幼稚園の始まり/自然の中で自然な育ちを見守る/想像力と創造力を育てる絶好の場所/大人も育つ「育自」の場

 

森と地域の中で生きる力を育む子どもたち(山田季美予・「安曇の空の下 自然保育 季楽」園長) 

「森のようちえん」との出会い/感情表現と選択する能力を育む森/地域の力と思いやりの心/保護者からよく受ける相談/無認可幼稚園の長所と短所

 

森での保健休養を地域に根づかせる試み(上原巌・みんなの森 代表世話人)

森林保健活動に対する意識と現実のギャップ/「みんなの森」の活動/少人数の寺子屋講座の意義

 

第2部 実践編 ──────────────────────────────────────

森林ウォーキングのすすめ(旭川医科大学 循環・呼吸医療再生フロンティア講座/NPO法人中頓別森林療法研究会理事長)

「森林ウォーキング」とは/ウォーキングの前に/メディカルチェックと準備体操/ウォーキングの姿勢と期待される効果/血圧と町民の生活実態/「森林ウォーキング」と「ウォーキング」で効果は違うか?

/森林ウォーキングプロトコール/町民の変化と自治体の課題

 

超高齢社会と森林保健活動(瀧澤紫織・植苗病院医局)  

超高齢社会とその憂慮すべき実態/認知症の予防と介護予防/森林保健活動と介護予防・認知症予防

 

森林保健活動の対象者とプログラムの作成(上原巌・日本森林保健学会理事長) 

予想される対象者/基本的な心構えと留意点/対象者別プログラム/各障がい者別の留意点/実施計画の進め方と留意点/平坦地と急峻地におけるプログラム/森林保健活動の運営主体

 

サラリーマン・教員・公務員と森林保健活動(上原巌・東京農業大学森林総合科学科教授)   

放置林におけるサラリーマン向けワークショップ/教員対象のワークショップ/市役所職員を対象としたワークショップ

 

公立森林公園における障がい者の療育活動(上原巌・東京農業大学森林総合科学科教授) 

森林療法の方法/森林療法の結果と考察

 

森林を活用した保健休養の今後の課題と展望(上原巌・東京農業大学森林総合科学科教授)  

「癒し」イメージの流行/地域コミュニティの再形成/玉石混淆から臨床的淘汰へ

  

日本森林保健学会の活動内容

設立の趣旨/「日本森林保健学会」の名称について/入会のご案内

  

上原 巌(うえはら・いわお

 東京農業大学教授。1964年長野市生まれ。岐阜大学大学院連合農学研究科博士課程(生物環境科学専攻)修了。農学博士。日本カウンセリング学会認定カウンセラー。みんなの森代表世話人。寺子屋講座主催。

日本森林保健学会

 2010年4月創設。子どもから高齢者まで幅広く人間と森林が共に健やかになることをめざし、その研究を行う学会。医療、福祉、教育、心理などの専門職をはじめ、林業家、学生、主婦など、会員層は広い。全国各地での研修会や調査研究活動を行い、市民の心のよりどころとなることも目的としている。http://www.forest-humanhealth.com/

  

  

森林サイエンス2

信州大学農学部森林科学研究会編 A5判325P 1905円(税別) 2011年3月3日初版

 

グローバル化や産業構造の変化に伴い、森林と人間の関係も大きく変化してきている。間伐の遅れ、里山の荒廃、獣害の急増などが顕在化し、地球温暖化対策なども森林との関係で論じられる機会が増えた。こうした今日的課題から生態・防災・環境・林業まで、信州大学の教官による森林科学の最新研究を集成。

 

樹形づくりを観察する………………………………………………………………………………………城田徹央

樹木の形/樹形モデル/樹形モデルのバリエーション/成熟した樹木の形/シュートの長さと数/幹の太さと枝の太さ/バーチャルな樹形の世界/種多様性と形の多様性 

 

木が木材を作り出す仕組み…………………………………………………………………………………細尾佳宏

木材=陸上で最も豊富なバイオマス/樹木は木材を生産しながら太る/木材を構成する化学成分(1.セルロース/2.ヘミセルロース/3.リグニン/木材の正体は細胞壁である/細胞壁はどのようにして作られるのか(1.細胞壁形成の大まかな流れ/2.セルロースの生合成/3.ヘミセルロースの生合成/4.リグニンの生合成/5.細胞壁成分の堆積/6.プログラム細胞死)/おわりに

 

森林を測る……………………………………………………………………………………………………加藤正人

なぜ森林を測るのか(1.目的/2.計測学の歴史/3.森林情報と広域診断技術)/森林を空から測る(1.リモートセンシング/2.空中写真/3.人工衛星からの森林観測)/森林を地上から測る(1.踏査とGPS/2.プロット調査/3.資源量と評価)/森林を管理する(1.目的に合わせ区分/2.森林GISによる情報管理)

 

空っぽな森林土壌の大きな働き……………………………………………………………………………小野 裕

雨の記憶/雨の量と強さ/雨は公平か?/浸透と透水/空っぽな森林土壌/空虚を支える団粒構造/土は生きている/「面」としての森林 

 

森林がもつ土砂災害抑制機能の効果と限界………………………………………………………………平松晋也

山地域で生じる土砂災害/森林の機能/森林と土砂生産(1.森林と土壌侵食/2.森林と崩壊)/森林は生き物であり万能ではない 

 

森林根系の崩壊防止機能……………………………………………………………………………………北原 曜

はじめに/森林根系の崩壊防止機能に関する従来の考え方の問題点/森林根系の力学的はたらき/試験結果と考察(1.引き抜き試験の結果/2.根系分布の調査結果/3.ΔC(単位断面積あたりの粘着力増強分)の算出結果/4.間伐と立木間中央のΔC/5.根系を考慮に入れた斜面安定計算)/崩壊に強い森林づくりへの提言/おわりに 

 

ウシとシカによる地域振興を兼ねた獣害対策……………………………………………………………竹田謙一

獣害の実態と対策(1.農林業被害・生態系被害の実態/2.被害実態に見られる長野県の特徴/3.被害拡大の原因と対策)/放牧牛による緩衝帯整備と地域振興/シカの個体数管理と森林管理、そしてジビエ活用 

 

南アルプスのニホンジカはなぜ「お花畑」を目指すのか………………………………………………泉山茂之

「お花畑」の変貌と消失の危機/調査方法/ニホンジカの行動からわかったこと/有害駆除や狩猟に遭いにくい越冬地/芽吹きを追いかけ「お花畑」まで登山する/さまざまな生活様式を持ったシカ/越冬地への移動ルートと越冬環境/なぜニホンジカは「お花畑」まで登るのか/おわりに 

 

昆虫を指標種とした環境評価手法…………………………………………………………………………中村寛志

はじめに/環境を評価する三つの方法/昆虫の環境指標性/特定種を使った環境の測定/絶滅危惧種で環境を測る/特定グループの存在割合で評価/ショウジョウバエ群集による山岳環境の評価/西駒演習林での「ものさし」作り/標高による種構成の変化/山岳環境の評価/おわりに 

 

環境劣化する孤立林におけるコケ植物の保全……………………………………………………………大石善隆

なぜコケなのか?/森林の孤立化とは(1.孤立化と環境変化/2.孤立化の影響を受けやすい生物/3.孤立林の樹幹着生蘚苔類)/孤立林の樹幹着生蘚苔類/樹幹着生蘚苔類の保全(1.孤立林環境/2.蘚苔類生育形/3.孤立林環境と樹幹着生蘚苔類/4.森林管理と樹幹着生蘚苔類/5.孤立林面積と樹幹着生蘚苔類/6.樹幹着生蘚苔類の保全手法)/今後の研究にむけて 

 

持続可能な林業経営の基本的視点と漸伐作業法…………………………………………………………植木達人

はじめに/林業経営を理解する四つの視点(森林の地域性と種の多様性/森林の再生産性と長寿命/森林の多機能性/森林の社会・文化性)/四つの視点の関連性/漸伐作業法の導入の意義と方法(1.戦後の木質資源の利用の特徴と森林資源の造成/2.漸伐作業の導入の意義と方法/3.具体的事例に学ぶ)/おわりに

 

普及・進化する高性能林業機械……………………………………………………………………………松村哲也

在来型林業機械の普及(チェーンソー/集材機/刈払機/林業用トラクタ/運材車/モノレール/動力枝打機/自走式搬器/グラップルローダ)/高性能林業機械の登場(フェラーバンチャ/ハーベスタ/プロセッサ/スキッダ/フォワーダ/タワーヤーダ/スイングヤーダ/その他高性能林業機械)/高性能林業機械の活用策(団地化~事業量確保と路網整備/作業システムの構築)/高性能林業機械の進化 

 

信州産カラマツ材の強度性能と利用………………………………………………………………………武田孝志

はじめに/カラマツ材の強度性能の評価(1.カラマツ正角材の強度性能/2.曲げ・圧縮・引張強さの違い/3.強度分布と強度評価/4.カラマツ正角材の等級品質/5.カラマツ精英樹の圧縮強さ)/高温セット法によって乾燥したカラマツ材の強度性能(1.カラマツ高温セット材の強度性能/2.カラマツ高温セット材内部の強度性能/3.カラマツ材における高温セット処理によるドライングセット)/カラマツ研究の方向性/おわりに 

 

地球温暖化問題と森林とのかかわり………………………………………………………………………小林 元

地球環境の変遷と植物の進化/地球環境問題と人間活動/地球上の炭素循環/地球環境と温暖化/地球温暖化問題に対する取り組み/森林による炭素の蓄積量および吸収量の評価法 

 

森林・林業と社会経済の変動………………………………………………………………………………三木敦朗

育成林業と採取林業/「環境の時代」とグローバリゼーションの並進(多面的機能の重視/森林吸収源への期待/国有林の解体計画/国産材への再注目)/森林利用・管理の水準を支えるもの/持続可能な森林経営は可能か/森林・林業と社会経済の変革 

 

世界木材市場問題と21世紀型森林管理方式……………………………………………………………小池正雄

はじめに/世界木材市場における大きな変化の到来/中国およびインド木材市場の変化/インド木材市場における変化/我が国木材市場の現状/おわりに 

 

森と共存するブータンの山菜利用…………………………………………………………………………松島憲一

信州とブータン/ブータンの食用野生植物/日本の山菜類との類似性/タイ北部との類似性―照葉樹林文化/放牧殖生とシダ類/苦味を好む食文化/森林の管理と持続的利用/かつては山菜しかなかった 

 

放棄里山林の保全活用とそのリラックス効果……………………………………………………………上原三知

森林イメージの変遷/放棄二次林での探索と林床管理/活動前後の心理状態/リラクゼーション効果を高める環境学習/林内活動前後の変化 

 

里山の担い手である山村集落の変容………………………………………………………………………古谷健司

なぜいま里山なのか(1.里山の意味/2.中山間地域とは)/戦後の中山間地域における山村社会の変化(1.1960(昭和35)年頃から始まる高度経済成長期/2.高度経済成長期以降/3.高度経済成長により引き起こされた中山間地域における社会的・経済的変化)/茅野市・白井出地区における山村生活の変遷と現状(1.白井出集落の沿革/2.白井出集落の概要/3.「白井出の宝もの」アンケート調査および結果/4.白井出の現状の姿)/白井出集落における課題と展望 

 

農山村中間領域経済の仕組みと機能……………………………………………………………………佐々木 隆

はじめに/信頼の社会と健全な社会/農山村における中間領域経済の特質/農山村住民の行動様式/農山村における競争形態/むすびにかえて─農山村集落と社会形成 

 

地域資源と大学を結ぶ学生のサークル活動………………………………………………………………大地純平

実習経験を補う「フィールド体験型サークル」/里山・田舎暮らし体験サークル「草むら組合」/伊那谷森林整備サークル「伊那守」(漆戸課/水無課/森ぷ~課/部奈課)/学生の人間力と地域資源を活かす実践の場/大学と地域との草の根レベルの連携

  

  

「森林サイエンス」表紙
「危険でムダな浅川ダム」表紙
品切れ
「治水とダム」表紙
品切れ
「炭を使う知恵」表紙
品切れ

森林サイエンス 

信州大学農学部森林科学研究会編 A5判 253P 1800円(税別) 2003年11月初版

 

謎が渦巻く科学と経済の世界=森林ワールドへの誘い

誰もが森林は大切だと言うけれど、その実体は? 林業の実情は? 本書は環境・生態から林業・木材まで、信州大学の教官が森林科学(林学)の新たな知見を示しながら森林の未知なる可能性を探る。21世紀型の森林管理を模索する長野県からの森の最新レポート。

 

《内容・構成》 

森林と野生生物 ………………………………………………………………………………………… 荒瀬輝夫

森林の動植物(森林の動物/森林の植物)/生物の種(植物の分布/動物の分布)/生物の生息環境としての森林(無機的な環境/有機的な環境)/野生生物の保護管理(野生生物種の現状/自然保護、野生生物保護のための法令等/野生生物の調査法/野生生物の保護管理)

肥料が変えた里山景観 ………………………………………………………………………………… 中堀謙二

現代日本人の里山観/上伊那の土地利用の変化(明治から平成)/草の利用と採草地(草肥としての苅敷/厩肥/草の採取地)/江戸時代に展開する草原的景観/江戸時代の里山の全国的状況/明治時代に進んだ段丘上採草地への植林/草肥・厩肥の歴史/改造された自然・里山/森林がおおう日本の里山 

死が生を支える森林 ………………………………………………………………………… ニッタ リューゾー

トトロの大木/3%のみが生きている樹木/枝葉末節が土を作る/幹が根になって樹体安定/空洞木は風に強い?/空洞が森を豊かに/死が生を支える 

森林の土と植物の水 …………………………………………………………………………………… 川崎圭造

日本の森林土壌/森林土壌とは/土壌の物理的性質/樹木と水 

森林と自然災害 …………………………………………………………………………………………丸谷知己

森林と人間と自然災害/水・土砂災害の予測/流域での水・土砂の振る舞い/流域における森林の役割 

/森林の破壊と再生 

森林を測る ………………………………………………………………………………………………加藤正人

なぜ森林を測るのか(目的/計測学の歴史)/森林を空から測る(リモートセンシング/空中写真/人工衛星による森林観測)/森林を地上から測る(踏査と測量/プロット調査/資源量と評価)/森林を区分する(目的に合わせた区分 /森林GISによる管理 /開かれた森づくり)

これからの森林づくり道づくり ……………………………………………………………………… 林博道

道づくりの必要性/森林づくりの方向(皆伐一斉更新方式からの転換/複層林への誘導)/搬出作業システムと路網(機械化の方向/路網整備の考え方)

森林施業と皆伐・漸伐・択伐 ………………………………………………………………… ………植木達人

再生が可能か不可能か/森林の機能と伐採行為/森林施業とは/個別技術の流れと作業種(皆伐作業/漸伐作業/択伐作業/森林施業と地域環境 

木曽谷と九州における伐出作業の低コスト化 ………………………………………………………… 井上裕

伐出作業の歴史的背景/伐出作業の現状/九州での取り組み事例/伐出作業の今後の展望 

自然環境の再生と緑化手法 ……………………………………………………………………………山寺喜成

植物は唯一の救世主/緑化の目的とは何か/緑化の問題点/自然と調和する群落の造成 (検討課題/自然と調和する群落の条件)/自然形成のメカニズム解明への試み(草本植物と木本植物の根系形態の相違/植栽木と播種木の根系形態の相違)/使用植物の選定(植物選定の前提/先駆樹種を積極的に用いる)

森林の生命環境保全機能の再生(土壌保全機能の再生/水源涵養機能の再生/CO2の吸収・固定能の再生/気象緩和機能の再生/生物多様性維持機能の再生/自然景観保全機能の再生)/緑化の技術体系 

二一世紀における緑化の展望(地域の自然環境の修復/食料等生産環境の保全/地球環境の修復・保全)

地球環境問題と森林の多面的価値 ……………………………………………………………………野口俊邦

林業基本法から森林・林業基本法へ/基本法林政の帰結/旧法から新法への転換の背景と問題/森林の経済的価値と公益的価値(森林の経済的価値/森林の公益的価値)/多面的機能発揮と木材自給率の向上

多国籍林業資本と国産材の今後 ………………………………………………………………………小池正雄

木材自給率18%/多国籍コンサルタント資本とは/EUの多国籍林業資本/多国籍林業資本と日本・アジア市場/少子高齢化=住宅市場の縮小と林業・木材産業/ポスト工業化社会への独自の枠組み 

木材の性質と水分 ……………………………………………………………………………………… 徳本守彦

三つの欠点/木はなぜ狂う(自然が与えた木のデザイン/木の収縮と膨潤/木の狂い/木の原初記憶)

/木のセット(加圧収縮/木のパーマネントセット/木を曲げる/木の圧縮大変形)/木を乾かす(木は乾かして使う/乾燥応力とセット)/木の変身(メカノソープティブクリープとは)/木は熱いうちに打て(背割り/木を天ぷらにする/木は熱いうちに打て/柱材の残留応力とセット)

信州産カラマツ材の強度性能 ………………………………………………………………………… 武田孝志

長野県とカラマツ人工林/木材の強さ(木材の組織/木材の材料強度/無欠点小試験体と実大材)/信州産カラマツ集成材の強度特性(圧縮強さにおける積層効果/引張強さにおける寸法効果/曲げ強さにおける梁背効果)/これからの木材利用のあり方(材料効率/木質廃棄物に代わるもの/目新しさと変わらぬこと)

【特別寄稿】森林と文学 ―『喜びは永遠に残る』に横溢する森林のイメージ …………………… 山本省

『木を植えた男』/ジオノと自然/『喜びは永遠に残る』における森林のイメージ/ジオノの自然描写の特徴 

  

  

  

危険でムダな浅川ダム ~浅川・千曲川治水の本筋~ 

中沢勇(浅川・千曲川等治水対策会議会長)著 A5判70P 700円(税別) 2010年2月初版

 

ダム予定地が地すべり指定区域に囲まれ、地震発生につながる活断層の存在が指摘されており危険

千曲川との合流点付近の洪水は千曲川の水位上昇が原因で、浅川ダムによる治水効果は期待できないのでムダ

浅川上流は急流で土砂の移動・堆積が多いため「穴あきダム」の穴は詰まりやすくムダ。(むしろ水害を招く)

 付け替え道路の先行建設や新幹線の用地問題など、本末転倒な弥縫策に利用されてきたため、それが改正河川法の趣旨(環境重視と地域意見の反映)との整合を妨げる浅川ダム。

 河川整備における本流(千曲川)と支流(浅川)の整備計画に整合性がなく、緊急性はむしろ千曲川の洪水対策にある。国の補助金でムダなダムを造るのではなく、中野市立ケ花等の狭窄部、広大な集水域における雨水の集中化、河川改修の遅れ、洪水水位を高める西大滝ダムなど優先すべき対策が多い。

 

1. 矛盾に満ちた浅川「穴あき」ダム計画 

 (1)はじめに 

 (2)浅川流域の概要と浅川ダム計画 

 (3)流出・堆積する土砂とダム 

 (4)非現実的な基本高水流量

 (5)崩れやすい地質 

 (6)活断層調査の必要性 

 (7)穴詰まりの危険性 

 (8)模型実験の欺瞞性

 (9)河川整備計画策定の違法性 

 (10)同一水系内の安全度の矛盾 

2. 幻の基本高水流量

 (1)〈計画編〉運用の留意事項 

 (2)仮説の積み重ねによる過大化 

 (3)降雨量を流量に変換するマジック 

3. 緊急課題は千曲川の洪水対策 

 (1)はじめに 

 (2)災害に関する自然条件

 (3)人の関与による影響 

 (4)千曲川の治水対策の状況 

 (5)河川整備基本方針の実現性 

 (6)西大滝ダムの問題点 

 (7)水利権更新時の対応 

 (8)流域は住民自らが守る 

  

  

  

森林バイオマス ~地域エネルギーの新展開~

NPO法人SDG・伊那谷森林バイオマス利用研究会編 A5判160P 1600円(税別) 2003年初版

  

  

  

治水とダム ―河川と共生する治水―

信州大学自然災害・環境保全研究会編 四六判 175p 1300円(税別) 2001年6月初刷

人間と河川の共生関係を考える。

1 浅川の治水計画の問題と総合的治水対策……上野鉄男 京都大学防災研究所助手

  代替案論争の過ち/過大数値のカラクリ/総合治水の基本と適正な基本高水流量/河川改修と天井川の解消/内水災害対策

2 ダム立地の地質学的問題 ―下諏訪ダム・浅川ダム……小坂共栄 信州大学理学部地質科学科教授

  フォッサマグナの地質をどう捉えるか/下諏訪ダムのケース/浅川ダムのケース

3 河川による浸食と堆積作用の歴史―犀川と姫川を例に……赤羽貞幸 信州大学教育学部理数科学教育教授 

  川の浸食・運搬・堆積/姫川の巨礫分布/犀川の礫の大小と河川の勾配/長野盆地の堆積状況/総合的な視点とデータの蓄積

4 地域開発と水利権……吉田隆彦 信州大学人文学部人間情報学科教授

  二つの疑問/アメリカがダムをやめた背景/対極の二事例/財産権の主張/野尻湖の水がなぜ使えないのか/北の立科と南の蓼科の明暗―水利と治水/観光開発と水利権

5 緑のダムの経済効果……野口俊邦 信州大学農学部森林科学科教授

  経済的機能と公益的機能/森林全体で年75兆円の評価/未着工ダムの予算でスギ造林4万ヘクタールが可能

【特別寄稿】 現代水害の特徴と治水の考え方……岩松暉 鹿児島大学理学部地球環境科学科教授

  川とは何か/川をとりまく日本の自然/現代水害の特徴/氾濫を前提とした治水/祖先の知恵に学ぶ/甲突川の八・六水害/岩永三五郎の治水工事/治水の考え方/ソフト対策/防災教育/おわりに――脱ダム論について

  

  

ゴミは田舎へ?

関口鉄夫著 四六判 250p 1553円(税別) 1996年8月初刷

  

  

増補版 炭を使う知恵

炭おこしサミット実行委員会編 A5判 190p 1650円(税別) 1995年2月初刷・2000年8月8刷

水質浄化や土壌改良など、環境を改善する資材として注目される

木炭・木酢液の新用途を集大成。炭による生活環境の改善法。

1 木炭の新用途は暮らしに福音をもたらす!(炭やきの会名誉会長・岸本定吉)

2 炭焼きの変遷とサミット開催の経緯(炭おこしサミット実行委員会)

3 炭おこしサミットの要旨(信州大学農学部教授・菅原聰)

4 木炭・木酢液の需給関係と商品規格づくり(林野庁林産課・久米義輝)

5 木炭・木酢液の家庭利用(生活文化研究家・緑川礼)

水道水の浄化/竹炭と竹酢液/木酢液の二次精製液の活用法/食味の向上(料理用)/脱臭・除湿/木炭紙による除湿・脱臭・鮮度保持/家庭雑排水の浄化/割り箸炭の作り方/健康利用/生ゴミの分解・堆肥化

バイオ技術と炭で生ゴミが消滅(日本耐熱化学工業)

6 住宅への利用

木炭による木造住宅床下の調湿実験(信州大学農学部教授・中野達夫)/炭とヒノキを組み込んだ畳でカビ・ダニを抑え湿度を調節/雨水・風呂排湯を細粒状の木質炭とヒノキで浄化・再利用(三創研究所・小林悦雄)

7 木炭による水質浄化

小河川の水質浄化施設の設計事例(長野地方事務所)/家庭用雑排水処理施設の新商品開発(鬼無里村開発林業課)/家庭雑排水の簡易処理(長野県衛生公害研究所)/都市河川における水質浄化(長野環境保全技術管理センター)

8 木炭・木酢液の農業利用

木酢液農業と地球環境問題(元金沢大学教授・佐原甲吉)/木炭による土づくりと高品質・多収生産(茨城県経済連・塩崎維寿)/土壌改良・葉面散布・堆肥での使い分け(長野県八千穂村・横森正樹)/モミガラ薫液による凍霜害予防と多目的利用(長野県農協地域開発機構)/環境保全型農業推進会議の概要(長野県農政部)/木酢液商品化における法的問題点と活路(木酢液研究会理事・佐藤千秋)/黒炭窯木酢液の生成と利用(日本木酢液協会副会長・栗山旭)/炭よい環境づくり事業の概要

9 有機活性農業への複合利用

有機資材と炭を体系的に用い良質な農作物の生産を(三創研究所・小林悦雄)……時間をかける単純な方法がベスト/縮合リン酸+炭/モミガラ炭化装置/細粒状腐葉+細粒状炭/くん液/くん液強化剤/広葉樹の腐葉土

10 用途開発……新たな製炭方法と用途の開発(吉田豊)/木炭による電磁波の遮蔽(京都大学名誉教授・石原茂久)

[特別寄稿]フィトンチッドの効用(農林水産省森林総合研究所・谷田貝光克)

[巻末付録]木炭・木酢液の関連団体/販売メーカー/参考価格

  

  

森がくれた7つの恵み   

海なし7県編 四六判 86p 971円(税別) 1995年4月初刷

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