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大逆事件と新村善兵衛

石山幸弘著  A5判191P 1500円(税別) 2017年11月発行

 

1910年(明治43年)5月、長野県東筑摩郡の機械工にして社会主義者だった宮下太吉ら4名により明治天皇暗殺を企てた「信州明科爆裂弾事件」が発覚。これを口実に社会主義者、無政府主義者に対する弾圧が強まり26名が起訴、12名が死刑となった大逆事件(幸徳事件)が引き起こされた。1人の証人も出廷させず、裁判記緑も残さない異例の裁判は非公開であったが、戦後の研究によって明治政府による捏造という側面が強かったと言われている。

 信州明科爆裂弾事件に関与した新村忠雄の兄、善兵衛は弟に頼まれて借用した薬研(薬等を挽く器具)を鉄道便で送っただけで、幸徳事件に連座する懲役8年の冤罪に巻き込まれた。本書は善兵衛の短い生涯をたどりながら、判決に至る法制面の問題に検討を加える。

 善兵衛が刑法第73条の大逆罪で起訴され爆発物取締罰則違反へと罪名変更された経緯、皇室危害罪(大逆罪)における「予備陰謀」の拡大解釈、大宝律令に法的根拠を依存する大逆罪の法理などを通して、判決に至る論理 ・ 論点のすり替えが明らかになる。また、巻末の初公開資料により冤罪受刑者としての善兵衛の胸中にも迫り、本件の実体を究明する。

 本年6月、「共謀罪(テロ等準備罪を加えた組織犯罪処罰法)」が強行採決されたが、記録を残さないという明治以来の統治機構の姿勢ひとつを取ってみても、内心の自由(良心の自由)に踏み込む危うさが汲み取れる。

序章 新村兄弟のこと                      

 一 「家庭極メテ圓満」──官権記録

 二 「新村家」の長男善兵衛

 三 実弟忠雄から見た兄善兵衛

 四 長男善兵衛の苦悩  

第一章 善兵衛と爆発物取締罰則違反 

 一 善兵衛が犯した「罪」──薬研送付の実相  

 二 刑法第七十三条ノ罪──大逆罪 

 三 判決書──量刑決定の筋道

 四 判決書に見る疑問点

 五 無罪の証明──「躊躇なき行動」

 六 宮下太吉の保証人

 七 適用法令 

 八 なぜ三審制の対象にならなかったか──公訴事実の単一性・同一性

 九 爆発物取締罰則──新田融との比較

 十 爆裂弾の二つの目的

 十一 弁護人今村力三郎と平出修 

第二章 千葉監獄での獄中生活 

 一 忠雄との別れ──東京監獄最後の日

 二 獄中生活を伝える新資料「獄中記録」

 三 獄中感想録──昭憲皇太后崩御に伴う恩典

 四 獄中書簡──在千葉監獄 

第三章 減刑の真相と仮出獄                     

 一 勅令違反?──明治天皇崩御に伴う大赦令からの除外の法理

 二 誤判?──適用罰条の誤り 

 三 勅令恩赦と特別基準恩赦 

 四 賞表と減刑令(昭憲皇太后崩御) 

 五 仮出獄 

第四章 人生打開への挑戦            

 一 事件後の忠雄に対する思い 

 二 突然の上京

 三 警視庁への抗議 

 四 用意周到な刑期満了直前の上京

 五 突然の発意──日本脱出 

 六 新天地を求めて天津渡航 

〈巻末資料1〉新発見資料「新村善兵衛の獄中記録」翻刻    

〈巻末資料2〉 新村善兵衛 千葉獄中書簡・その他

昭和っ子の朝焼け

片山久志著  四六判318P 1400円(税別) 2017年7月発行

 

まさに日本の戦後を体現した昭和20年代生まれの世代。貧しくとも、活気と向日性に満ちた暮らしぶりは戦後日本の象徴でもあります。その日常を、当時の日記と驚異的な記憶力によって会話から情景描写までリアルに記しており、ドラマのように楽しく通読できます。また、堅実な内容から戦後庶民史や民俗史としての側面も合わせ持ちます。主人公は子供ですが、子供の汚れなき目から見た当時の大人たちの言動も時代を映しています。

1.戦争の名残
墨塗りの白壁/お寺の鐘
傷痍軍人ゲートルと防毒マスク日露戦役記念碑元中尉配給所鎌田山地下壕少数派の終戦っ子名前でわかる戦後生まれ
2.終戦っ子の歌
日本人は可哀ソ
ここは御国を何百里お~て~天ぷらみっちゃん、道々同期の桜軍艦マーチお富さん
3.占領統治
長野空襲
原爆は真珠湾奇襲の報復ケリーとチーズまた戦争?サマータイム国旗掲揚ジャック&ベティ
4.村の風景
狭い生活圏
土の道木造橋ゲレンデ耕地整理りんご畑桑畑と麦畑清水大川 
5.暮らし向き
母屋
便所土蔵物置清潔法検査散髪短靴と下駄と長靴テカテカの袖口お下がり
6.食糧難時代
自給自足
米作り朝食置き缶昼食弁当給食夕食と野菜鍋ライスカレー三大発明食品ゲテモノ?タバコ
7.おやつ
自己調達
杏とクルミツツジと桑の実香煎アイスキャンデーアイスクリーム
8.動物たち
鶏を料るヤギメンヨウウサギ伝書鳩とツバメ
9.文明開化
井戸と風呂
堰はらい手漕ぎポンプ公共水道電灯停電蛍光灯薪とボヤと樵かまどマッチと火遊び薪割りと風呂焚き掘り炬燵腰掛式掘り炬燵から電気炬燵へ電報・電話たらいと電気洗濯機テレビ
10.お医者さん
自宅出産
大やけどもう一人の妹村唯一の医師タロさんスクーターで往診リヤカーで退院日赤入院
11.小学校(一~三年)
入学直後/教室風景/Y子ちゃん&H子ちゃん/カブト/絵日記/授業参観/通知表/講堂/便所/検便/身体検査 /ビンタ/公仕さん/遠足/運動会/学芸会
12.小学校(四~六年)
二宮金次郎
ストーブ当番蝶採集尺貫法プン菅平林間学校送辞直江津修学旅行級長いじめ巡回映画島国根性戦争放棄・平和第一
13.遊び
チャンバラ
野球ナキパッチビー玉釘刺し川中島ひんがらギョメックラ縄取り四角陣取りライトプレーン
14.無鉄砲
キセル?
千曲川本流横断井上三山縦走山田牧場岩登り鉛筆サックロケットピストル針とチェーン どこの者だ! 野荒らし
15.娯楽
トランプ
将棋地図遊び二十の扉少年クラブ世界少年少女文学全集軍記物・怪談自転車紙芝居映画
16.手伝い
糸巻き助手
子守り農繁休業麦踏み・麦刈りりんご栽培チッキホップの消毒ホップ摘みと乾燥サイフォン
17.中学
井上中学
番長?統合中学落ちた窓エスケープ雨中の決闘ナイフ持物検査戦争体験を語らない先生豚の眼球部活とクラスマッチJRC立派な先生?修学旅行辞任反抗十五の春
18.来訪者
東京の者
行商人輝ちゃん猟師ギャングとK先生大道芸人泥棒親分・子分土下座の衆
19.季節の行事
どんどん焼き(どんど焼き)
冬の音節分やしょんま(やしょうま)味噌仕込み節句ご祭礼お盆おいじなさん秋祭り正月準備大晦日

蚕糸王国 長野県 ~日本の近代化を支えた養蚕・蚕種・製糸~

新津新生著  A5判263P 1600円(税別) 2017年2月発行

 

平地が少なく寒冷な気候にもかかわらず、明治・大正期に蚕糸(養蚕・蚕種・製糸)の各部門で全国首位を独走した長野県。農家の8割が養蚕に携わり、生糸生産上位20社のうち13社を長野県が占めた。日本の近代化に大きく貢献した長野県の蚕糸業は、どのように生まれて発展したのか。不利な自然環境とそれを逆手にとる県民性(知恵とズク)をキーワードに、「蚕糸王国」の実相に迫る。

 

第1章 「蚕糸王国」はどのように生まれたか

1.蚕糸業とはどういう産業か (1)蚕糸業を支えた農村女性 (2)外貨獲得のトップ産業 (3)当時のハイテク産業

2.長野県は本当に「蚕糸王国」だったのか (1)全国の57%を製造した蚕種 (2)夏秋蚕による反収増で首位独走の養蚕 (3)工場数・産出量ともトップの製糸

3.長野県が「蚕糸王国」になれた理由 (1)厳しい自然条件の反転利用 (2)租税対応と商品経済の発達 (3)教育水準 (4)長野県民の知恵とズク

第2章 統計に見る勃興期の蚕種・養蚕・製糸

1.幕末・明治初頭における輸出の花形「蚕種」 (1)幕末・明治初頭の蚕種輸出 (2)明治中期以降の製造状況

2.戸数・桑園・繭生産とも全国首位の「養蚕」 (1)養蚕の位置付けと全国順位 (2)桑園面積・収繭量の推移 (3)米作との比較と養蚕収入額の推移

3.郡・村の浮沈が大きい明治・大正期の「製糸」 (1)明治初期の製糸場 (2)諏訪・東筑摩・上伊那各郡の製糸場 (3)北信地方の製糸場 (4)明治中期以降の製糸場 (5)20世紀へ向けた変動

第3章 厳しい自然を生かした信州の蚕糸

1.千曲川の洪水を生かした上田小県 (1).幕末・明治初頭の上田小県の繁栄 (2).桑栽培と養蚕の最適地=塩尻村 (3)蚕種製造の先達 (4)蚕種仲間の結成

2.厳しい自然が育んだ黎明期の諏訪製糸業 (1)半農半商の歴史 (2)製糸業の夜明け (3)自然条件を生かした生産基盤

3.風穴がもたらした筑摩・安曇の夏秋蚕 (1)風穴の利用 (2)夏秋蚕種の発達

4.蚕糸全盛期の養蚕の横綱 飯田下伊那 (1)独自文化の背景 (2)地形と土壌 (3)飯田下伊那の養蚕 (4)長野県下における下伊那の地位

5.水車と製糸結社で群を抜いた須坂の器械製糸 (1)扇状地の桑園 (2)水車と須坂の製糸

6.松代藩から六工社に至る松代の蚕糸 (1)松代周辺の養蚕と糸挽き (2)全国の模範工場「六工社」 (3)六工社以外の製糸場

第4章 製糸最盛期の輝きと陰り

1.佐久の豪農らが設立した第十九銀行と製糸金融 (1)佐久の肥沃な土壌と豪農の誕生 (2)製糸金融の発展と第十九国立銀行

2.製糸最盛期を駆け抜けた須坂の山一・山丸 (1)牧新七と山一製糸 (2)越壽三郎と山丸組

3.片倉製糸を中心とする岡谷・諏訪の製糸 (1)片倉製糸と片倉一族 (2)片倉以外の岡谷の主な製糸場

4.伊那谷を中心とする組合製糸 (1)上伊那の製糸と養蚕 (2)全国に君臨した蚕糸組合「龍水社」 (3)組合製糸と営業製糸が共存した辰野町 (4)下伊那の製糸と養蚕 (5)下伊那の組合製糸「天竜社」

5.小諸製糸業と高橋平四郎・小山一族 (1)小諸の製糸業と高橋平四郎 (2)小山家と純水館 (3)蚕糸業を政界から支えた小山邦太郎

6.蚕種から製糸へと移行した上田小県 (1)大正以降の蚕種製造 (2)製糸業の勃興 (3)大正期の日本七大製糸「笠原製糸」 (4)品質と福利厚生に注力した依田社 (5)「糸の町丸子」と信濃絹糸

第5章 世界恐慌と蚕糸王国からの転換

1.世界恐慌が与えたダメージ 2.戦争と長野県の工業化政策 3.果樹栽培などに転換した養蚕農家

 

●コラム

1.養蚕寿古六(すごろく) 2.「あまり儲かって種屋が嫌になった」 3.皇后の養蚕と長野県 4.こんなにあった繭倉庫 5.製糸工女の「糸引き唄」 6.博徒の親分から世界の蚕種商人への転身 7.全国一の水車数と製糸場 8.富岡製糸場で学んだ工女たち 9.黒澤鷹次郎を支える人間ピラミッド 10.『あゝ野麦峠』の虚実 11.製糸工女の賃金 12.県外進出の主役も諏訪の製糸場 13.柳田國男と産業組合 14.「回顧の都上田」と「お蚕さん」 15.養業学校だった高校 16.現代に蘇る蚕室

天狗の走り路 ~伊那谷民俗の旅~

塩澤一郎著  A5判226P 1800円(税別) 2013年10月発行

 

 中央アルプスを代表する雪形「島田娘」。そこに走る二本の雪形は「天狗の走り路(みち)」に見立てられる。天狗の如く伊那谷の天空を縦横無尽に駆け巡り、各地の小さな文化遺産を丹念に拾い集めた。常民大学・後藤総一郎門下によるフィールドワークの結晶。

信州秋山郷 木鉢の民俗 ~木地師研究叢書第3冊~

日本木地師学会編  A5判173P 1400円(税別) 2010年6月発行

 豪雪の秘境として知られる長野県最北端の栄村「秋山郷」。トチノキを材料とする木鉢(こね鉢)の製作は、江戸時代から冬期の重要な生業であった。そば粉・小麦粉・雑穀などを木鉢でこねた麺や「アンボ」と呼ばれる饅頭は、山村の独特な食文化を象徴してきた。

 仕上げの段階で槍鉋(ヤリガンナ)、銑(セン)など古い道具が使われる秋山郷の木鉢は、昭和58年に長野県知事指定伝統的工芸品に指定されたが、ボウルなどの代用品の普及や食生活の変化によって近年は製作者が激減。長い伝統が途絶えかねない状況を迎えている。

 本書は地理学・地誌学の泰斗で秋山郷研究の第一人者である市川健夫氏と日本木地師学会会員により、秋山郷の風土と木鉢づくりの技術的背景を解説しながら、日用器物を通じて山と人との関わりを再考する。存続が危惧される全国の木地師の動向にも言及する

  

序章 信州秋山郷の風土と生業 市川健夫

はじめに 

(一)焼畑耕作を核とした農業複合経営 

(二)水田の造成と焼畑耕作の衰退 

(三)生活資料となってきた山の資源 

(四)内水面漁業と月の輪熊の狩猟 

(五)ブナ材などを用いた木工品工業 

(六)秋山郷の食文化とその変化 

(七)焼畑耕作の文化財指定と常民大学 

第1章 文献にみる秋山郷の山地資源 井上卓哉

(一)秋山郷の概要 

(二)秋山郷の山地資源利用の変遷 

 島田汎家文書からみる山地資源利用/『秋山記行』からみる山地資源利用 /焼畑耕作/トチノキの実の利用/狩猟・漁撈/木材の利用/明治時代以降の山地資源利用/養蚕/木材搬出と電力開発/水田の増加と焼畑の終焉/観光産業と山地資源の利用 

第2章 木地師の由来 井上卓哉

(一)轆轤の使用・非使用 

(二)轆轤師から木地師、移動から定住へ 

第3章 秋山郷における木鉢製作 井上卓哉

(一)木鉢製作の歴史 

(二)現在の木鉢製作 

 材料の確保/トチノキの伐採/木取り/木取りした材の保管/材をマルメル/木鉢内側の粗彫り/木鉢内側の仕上げ/木鉢外側の仕上げ/販売 

(三)木鉢製作の変遷 

 原材料の確保/伐採時期/作業工程と道具/販売/形態/木鉢製作の技術 

(四)他地域の木鉢製作 

 群馬県吾妻郡六合村入山/群馬県利根郡片品村土出/群馬県多野郡上野村北沢/福島県南会津郡檜枝岐村/埼玉県秩父郡大滝村 

第4章 全国の木地師 日本木地師学会

 木地師の呼称について(池田勇次) 

 木地師の祖神 惟喬親王と木地師の物語(蓮沼州子) 

 北海道の木工轆轤職人の窮状(松下敏夫) 

 青森県津軽塗と木地師(楯英雄) 

 伝統こけしの制作と木地師(塚越勇) 

 宮城県七ヶ宿町の木地師(高橋國雄) 

 福島県下郷町戸赤の水車轆轤(武田栄子) 

 長野県湯田中渋温泉郷のろくろ細工(楯英雄) 

 木曽平沢町の根来塗(小坂公一)

 木曽漆畑の南木曽ろくろ細工(大蔵徳幸) 

 岐阜県恵那・中津川地方の木地師(大蔵徳幸・楯英雄) 

 滋賀県永源寺「小椋宇三男 木地師の会」(加藤高之) 

 岡山県津山市の千軒刻研出本漆塗(楯英雄) 

 岡山県鏡野町の木地師(片田知宏) 

 岡山県真庭市蒜山 郷原漆器再興までの道のり(高山雅之) 

 茗荷定治を中心とする鳥取県の木地師(楯英雄) 

 広島県宮島ろくろ(大塚智嗣) 

 広島県山県郡の戸河内挽物(大塚智嗣) 

 広島県廿日市の剣玉(大塚智嗣) 

 山口県「大内塗」の継承と轆轤の危機(大塚智嗣)

  

   

     

   

    

    

    

    

    

    

    

    

    

信州の城下町を歩く ~松代・上田・小諸・松本・諏訪・高遠・飯田の往時と現在~

川崎史郎著  A5判205P 1500円(税別) 2009年11月発行

 多くの名将や藩主のもとで特異な町並みが形成され、独自の気風や産業が生み出された信州の城下町。本書は信州の代表的な7つの城下町について、戦国時代の勢力争いや築城の経緯を簡潔にまとめながら、城下町の形成過程や産業の成り立ち、当時の人々の暮らしぶりまで言及。さらに、各章の後半では、現在の城下町の様子を紹介しながら現地散策のポイントを記しており、戦国~江戸~明治~昭和~現在に至る「城・人・町」を総まとめした内容となっている。写真・図版・略地図など350点掲載。

  

松代━松代城(海津城)

水と庭に彩られた武家屋敷と真田十万石の名残

 ◆不思議なやすらぎの城下町◆松代へ移封された真田信之◆武家屋敷の風格◆武家屋敷の庭を巡る◆窮地を乗りきった藩政改革◆幕末の先覚者、佐久間象山◆「松代藩真田十万石まつり」と「松代イヤー」◆城下を走る人力車◆城下町に生きる職人と商人◆特産長芋の創作料理       

上田━上田城

真田三代~蚕都の栄光にみる外交戦術と進取の精神

 ◆徳川・北条の侵攻に備えた上田城◆上田の歴史を築いた「真田三代」◆敵味方に分かれた父子兄弟◆古寺に眠る真田の歴史◆真田の郷を巡る◆「真田幸村ロマンウオーク」と「上田真田まつり」◆城下町と問屋の特権◆北国街道に沿って中心街を歩く◆柳町の町並み保存◆房山通りの町屋 

 

小諸━小諸城

谷と崖を利用した「穴城」を囲む北国街道の息吹

 ◆金の道・信仰の道・大名行列の道◆仙石秀久による小諸城大改修◆城下の繁栄をしのばせる与良町・荒町◆豪商を輩出した商人の町◆問屋街の面影を残す本町◆宿場の面影を残す市町◆まちづくりの拠点「北国街道ほんまち町屋館」◆真田・徳川と小諸の古寺◆島崎藤村が好んだ「一ぜんめし」◆小諸のそばと酒 

 

松本━松本城

戦乱と泰平の世をつなぐ信州唯一の国宝平城

 ◆小笠原氏と新生「松本城」◆荘重な複合連結天守◆名城完成とともに散った石川康長◆形づくられる城下の町並み◆県内最古の武家屋敷◆隆盛する問屋と商家◆松本城主が眠る古寺◆蔵の町「中町」◆松本城ボランティアガイド◆まつもと水巡り◆城下の味覚と心意気 

 

諏訪━高島城

安定した藩政を支えた諏訪信仰と経済政策

 ◆諏訪信仰の中核地◆築城の名手が造った「諏訪の浮城」◆頼水が進めた城下町づくりと経済政策◆信玄・勘助・由布姫ゆかりの地を歩く◆宿場の面影を残す中山道を歩く◆高島藩の散居武士から大臣へ◆御柱のエネルギー◆上諏訪・下諏訪の食とイベント 

 

高遠━高遠城

江戸幕府の名輔佐 保科正之との系譜を尊ぶ

 ◆信玄・勘助と仁科盛信◆名君保科正之の遺徳◆悲劇の藩主鳥居氏◆逼迫する藩財政◆城下町の整備と商業の発展◆受け継がれる進徳館の教え◆武田氏・保科氏ゆかりの寺◆高遠そばと高遠まんじゅう 

 

飯田━飯田城

失われた惣堀の町割と残された「小京都」の気質

 ◆八間門と赤門◆めまぐるしく代わった飯田城主◆京都に習った碁盤の目の町割◆飯田城下の人々の暮らし◆烈女ふじの眠る寺◆赤穂浪士の生家◆飯田の今昔◆伝統の飯田銘菓 

   

雑木の名と民俗

宮澤文四郎著 四六判270P 1524円(税込) 2008年9月発行

消えゆく雑木の民俗──。

命名由来から伝説、風習、歌謡、文学、用途、植生まで、雑木と里人の深いつながりを探る。

  

●宮澤文四郎(みやざわ・ ぶんしろう)              

1929年、長野県下伊那郡松川町生まれ。信州大学教育学部卒、国語科教師として県下の高校に勤務、長野吉田高校で定年退職。文化女子大学附属長野高校教諭、長野大学予備校講師を経て長野高校講師を最後に教壇を去る。在職中に雑誌「伊那」(伊那史学会)、「信濃」(信濃史学会)、「さわやか」(銀河書房)などに投稿。著書に『庭木の民俗誌』(銀河書房)がある。長野市在住。

   

雑木と名と 

科の木 信濃の語源

 シナノキの仲間/マタギとシナノキ/信濃皮むき/信濃の国名考/長野市の市木/東御市の巨樹/巨樹がつくる空間/シナノキの花ことば 

唐松 経済木の苦悩

 カラマツの特性/川上村のカラマツ/カラマツの今昔/軽井沢のカラマツ 

桜 花見の変遷

 田の神を迎える花見/僧の花見と農夫の花見/野生のサクラとソメイヨシノ/「桜の花の栄ゆる御代」  

櫟(クヌギ) 団栗と昆虫

 どんぐりころころ/団栗泥棒とカラスの記憶力/カラスも驚く権兵衛さん /縁起木と神の籠る杜/「山林に自由存す」/樹液と昆虫/『木を植えた男』を読む/東西の団栗作戦 

栃 杣山と木地師

 実が多い十千/「嫁残し」は「米残し」/栃麺棒を振る/木地師と木工細工/葉焼けと街路樹 

柳 樹木の精

 ヤナギの分類/街路樹としてのヤナギ/樹下美人図/ヤナギの葉が魚になる/中国の「折楊柳」/木霊嫁入り/「青柳のはなし」と小泉八雲/霊と木霊 

ポプラ 減り続ける学校の緑陰

 GHQとアメシロ/蝶蛾の食葉/ポプラなき禿げ山学校/鮭回帰の教訓/小動物の飼育/公共の緑は誰のものか 

榎(エノキ)  枝垂れの俗信

 エノキとエノミ/神聖な木の条件/枝垂れという奇態/金の成る木と蝶の成る木 

猿滑(サルスベリ)  笑う木への畏敬

 猿も滑る中国の木/木が笑い山が怒る/血の流れ出る樹/森羅万象が物を言う 

令法(リョウブ)  救荒と豊作の願い

 別名「畑つ守り」/救荒植物と救荒野菜/小正月の物作り/もう一つのサルスベリ 

柊(ヒイラギ)  神の依代

 ひりひりする木/鋭い鋸歯の謎/鬼の目突き/狂言「節分」/魔除けか依代か/セイヨウヒイラギと荊冠 

錦木(ニシキギ)  美名にたがう嫁殺し

 紅葉の錦/刺抜き・虱取り/嫁の悲しい伝説/嫁殺しの雑木/嫁殺しの由来 

柾(マサキ)  草笛の哀調

 マサキも榊/草笛は禅の心/自然玩具の復活論/笛になる草木 

躑躅(つつじ)  聞いて恐ろし見て美しや

 「山で赤いはつつじじゃないか」/羊がふらつく有毒性/レンゲツツジの方言/「やはり野に置け」 

椿(ツバキ)  茶道の色

 照葉樹林帯の椿/生首が落ちる/茶室とツバキ/筒咲き筒しべ 

空木(ウツギ)  消えゆく田植え花

 ウツギの方言/春木取りと木釘づくり/卯の花とホトトギス/農民の豊穣祈る民俗 

 

●「あとがき」より

 戦後六十年の間に、日本の社会情勢は激変したと言ってよい。連合国への降伏と同時に崩れ去ったのは、非科学的な精神主義であった。そして迎えたのが、合理的な科学的思考の時代である。その科学の力により、開発、観光の名のもとに自然破壊、自然への畏敬の念の喪失が始まった。続いてその反省の上に立っての自然の保全や保護、人間の自然への回帰などが叫ばれ、樹木の民俗を語るにも、これらの社会情勢を避けては語れない時代を迎える。

 雑木林を構成する樹木を、このような広い視野から民俗を見直してみよう、戦後六十年の日本社会に、雑木林をより身近なものとして、その意義を問い直してみよう、このような考えから綴ったのが、本書である。

 雑木林に親しむには、まずその樹木の名と命名由来を知ることから始まる。しかし樹木に限らず動植物全般に、片仮名表記による単なる記号のような名が流通して、その実を伴わないことが多い。本書の書名を『雑木の名と民俗』としたのも、冒頭に「雑木と名と」の項を設けたのも、雑木の名の内実を知ることこそ、雑木林を理解する基本と考えたからである。

 樹木の名前には、(1)和名、種名(標準和名──国内で通用する名前)、(2)方言(ある地域の地方名、地方の種名──その地域で通用する名前)、(3)学名(世界共通の名前)がある。殊に本書では、地元(信州)の民俗に重きを置くために、(2)を重視した。樹木の方言は、その地域の民俗から生まれたものが多いからである。(中略)

 雑木に関する過去の民俗、つまり雑木と里人との実生活の中での深いつながりが何を意味するのか。樹木の精や木霊、伝説や俗信などは、自然への畏敬と豊かな人間らしい生活についての示唆に富んでいる。しかし、戦後の開発や自然破壊によって樹木が大量に伐採されると、それに合わせて雑木の民俗も忘れ去られ始めた。昭和後期の後半期には、自然の保護・保全が叫ばれるようになったが、雑木と人間との関係についてはそのあるべき形がつかみきれていないように思われる。そのヒントを消えゆく民俗の中に見つけてもらうことができるならば、私の最も喜びとするところである。(後略)

    

瞽女さん  ~高田瞽女の心を求めて~

杉山幸子著 四六判138P+CD(40分)付 2300円(税別) 1995年10月カセットブック版/2003年10月CDブック版

ほー ほー ホータル来い ~「ホタル狩りの唄」を追って~

三石暉弥著 四六判 252ページ 1600円(税別) 2002年6月発行  

懐かしく、可笑しく、そしてどこか神秘的でもあるホタル狩りの唄。「ほー ほー ホータル来い あっちの水は…」という定型の歌詞から大きな変化・変形をみせながら、全国各地で地域色豊かに伝承されてきた。ホタル自体と共に各地で消えゆくホタル狩りの唄、庶民の暮らしぶりが大胆に詠み込まれた唄を長野県および全国に追い、日本の原風景とそこに秘められた心情をたどる。

全国1000余点の中から特徴的な約300の唄を収録。ホタルの生態等に関する「ホタル雑学」を添付。

 

●みついし・てるや●長野県臼田町出身。高校教員時代からチョウやホタルの生態を調査研究。長野ホタルの会会長、環境省環境カウンセラー、生物学博士。著書に『ゲンジボタル』(信濃毎日新聞社)、『ヘイケボタル』(ほおずき書籍)ほか。

 

第1章 ホタルとの出会い

  戦前の人気者

  「ホタルを見たことがない」と言う生徒たち

  飼育ホタルが初めて舞った日

第2章 ホタルの魅力と神秘性

  風俗と自然と光

  神性と霊性

第3章 ホタル狩りの唄(長野県)

  地域別にみるホタル狩りの唄

  呼びかけ言葉・誘い言葉の地域性

  ホタルへの指示言葉 

  ホタルの地方名

第4章 越境する歌詞の謎(長野県および隣接県)

  「かんねん」

  「山吹」「山伏」

  「山みてこい」「山みちこい」

  「提灯さげてこい」「行灯みてこい」

  「乳やるぞ」「乳くれる」

  「宿かせる」「宿かしょう」

第5章 全国のホタル狩りの唄

   都道府県別の「ホタル狩りの唄」

 

●資料編●

1 ホタル雑学

ホタルの起源/世界のホタル/日本のホタル/水生のホタル・ 陸生のホタル/ホタルの語源/ゲンジとヘイケ/ホタルの卵/ホタルの幼虫/体外消化/カワニナ/ミズボタル/幼虫の上陸/幼虫の部屋/さなぎ/ホタル前線/ホタルの時間/ホタルの言葉/関東型と関西型/光の強さと波長/冷光(発光のしくみ)/絶食と肉食/冬のホタル/ホタルの寿命/人魂の正体/化身としてのホタル/ホタル合戦/ホタルの木/ホタルの谷/竹取物語とホタル/縄文人からのメッセージ/ホタルブクロ/明かりとして使われたホタル/光る植物/先端技術とホタル/ホタルの天然記念物

2 長野県のホタル狩りの唄

3 全国のホタル狩りの唄

4 校歌・校章とホタル(長野県)

川中島合戦かるた

森貘郎=板画 千曲文化編集室=発行 川辺書林=発売 定価1500円(税別) 2007年10月刊

川中島の戦いから450年余。この戦争の歴史は今も川中島の深い霧の中にあり、伝説や解説による戦国ロマンとしても語り継がれています。『川中島合戦かるた』は、史実と伝説を踏まえながらも、より自由な視点や発想で制作。信濃の武将の動向や戦いの裏側、民衆の暮らしなどを描く、楽しく刺激的な「板画(版画)かるた」です。板画家の森貘郎による版画も秀逸。中世史研究家の村石正行監修。

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品切れ
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「信州秋山郷 木鉢の民俗」表紙
「信州の城下町を歩く」表紙
「雑木の名と民俗」表紙
「ほーほーホータル来い」表紙
「川中島合戦かるた」見本

上田・真田氏本城跡

松代・松代藩真田十万石まつり     

上田・真田氏館跡の土塁(厩)

真田十万石まつり
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