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「移動販売車がゆく」表紙

信州の秘境駅・小駅を巡る  ~近代化から過疎化への100年旅~

久保田稔著 A5判168P 1500円(税別) 2022年3月発行

この100年、時に近代化を支え、地域の暮らしを支えてきたローカル線。過疎化により乗客は減少の一途をたどる。中でもその減少率が著しい秘境駅や小駅は、過去と未来にどのような軌跡を残すのか。駅と沿線を100年のスパンで素描する。

■飯山線

TOKYOの逆を行く 
発電所の資材を鉄道で輸送 
電力と鉄道の因縁 
豊野で見る水害と感染症の痕跡 
「大河千曲川」を堪能できる立ケ花駅 
蓮駅発、極楽浄土行き 
信濃平駅前に咲く菜の花の哀歓 
水や風にも風情が香る上桑名川駅 
通船と渡し船の隆盛 
西大滝ダムの功罪 
栄村復興の灯 
雪が駅への行く手を阻む足滝駅 
駅舎に温泉がある津南駅 


■大糸線
山とスキーと大糸線 
南小谷〜糸魚川の利用者急減 
安曇野北部〜大町の駅 
仁科三湖の湖畔の駅 
コロナで外国人が減った白馬駅 
鉄筋駅舎の栄光遥か白馬大池駅 
千国駅・廃屋・遺構の相似ワールド 
中土駅裏に広がる空き地と廃屋 
戦争と災害に翻弄された北小谷駅 
スキー場閉鎖から45年、平岩駅前の今 
秘境区間の平岩〜小滝 
小滝〜平岩間のシカ追走劇 


■小海線
東京で設立された東信軽便鉄道 
東信電気と佐久鉄道 
ガソリンカーと蒸気機関車C56 
絵本のひとこま青沼駅 
巨大鉄管が頭上をまたぐ海瀬駅 
馬流駅と秩父事件・警察署廃止事件 
かつての大観光地、松原湖駅の静寂 
1000m超の海尻駅・佐久海ノ口駅 
畑中は秘境に非ず佐久広瀬駅 
川上村の野菜列車と臨時野菜駅
おとぎの野辺山駅にしみる青空
メルヘンの清里 今は昔 

 

■中央西線
特急が13往復する幹線 
信号所からの昇格駅 
宿場の歴史を映す贄川駅・奈良井駅 
簡素な実用美の倉本駅 
県内最西端にある天空の田立駅 

 

■飯田線
4私鉄を統合した飯田線 
春秋の飯田線秘境駅号
哀愁漂う天竜峡駅と谷底原野の千代駅
由緒正しき秘境、金野駅 
天竜ライン下りと唐笠港・唐笠駅 
門島駅と満蒙開拓団 
絶壁の田本駅から車道までの急登20分 
秘境を自転車で駆け巡る 
駅か港か為栗駅 
平岡〜鶯巣〜伊那小沢を歩く 
中井侍とは何者か 
ダムに沈んだ集落の小和田駅

 

■コラム
栗岩英治の信越東線論 
懐かしい長野電鉄の木造駅舎
天空に突き出た姨捨駅
赤い鉄橋と青い駅舎の別所線

 

 

 

移動販売車がゆく ~買い物弱者を支える「にこやか号」奮闘記~

宮下武久著 四六判222P 1400円(税別) 2014年12月発行

   

 人口減少や高齢化、地域経済の衰退等を背景として、食料品や生活用品の購入に困っている「買い物弱者」は全国で600万人に達すると推計されている。農林水産省の調査によると、回答した市区町村の約8 割が食料品アクセス問題への対策が必要だとしている。

 本書は、移動販売車による買い物支援事業に取り組む長野県箕輪町の運送会社(泰成運輸)の奮闘ぶりを描きながら、買い物弱者の実情や本音にも迫る。

 冷蔵庫・冷凍庫を備えた移動販売車「にこやか号」は、魚や肉、野菜など150品以上を積んで月曜から土曜まで箕輪町内50カ所を巡回販売する。お客の中心となる高齢者の要望に応えて品揃えを充実させながら、足の弱い人の介助もすれば、自宅まで商品を届けたり、話し相手になったり……。なかなか赤字から脱することができないが、商売を越えた交流が芽生える。心温まる逸話も少なくない。

 しかし、買い物弱者問題は単なる人情譚で片付けられるものでもない。本文終盤で触れられているように、我々はこの問題の所在にきちんと目を向けずにきたし、この問題の先に何があるのかについても考えてこなかったかもしれない。終始ユーモアを交えながらの記述だが、最後に問題の本質を問いかけている。

  

第1章 「にこやか号」誕生

「やっぱり自分で見て買いたいの /他店にはない魚介類 /買い物弱者は六〇〇万人というけれど /おばあちゃんたちの女子会 /年寄りが外に出る機会 /リーマンショックから地元野菜の販売へ /専用車両の導入と週六日販売 /最も売れる場所 /大型店やネット社会の外側で /補助金もらうと行政の仕事? /配達サービスも、話し相手も /「アジは自分の、刺身は猫の」

第2章 買い物の笑顔と素顔

買い物弱者とは誰だろう /「奉仕のつもりで来てるでね」 /子供や若い主婦のお客さん /帰ろうとしない男性客 /火を使わない食事 /お客さんが来ない日、来ない場所 /移動販売車も来ない僻地はどうなる /名古屋市中央卸売市場 /「アサリ屋」の仕入れ /JAみなみ信州「ミニファミ号」 /筑北村商工会「おたがいさまネットワーク」

第3章 模索の中を走る

女性ルーキーの投入 /通り一本違うだけで売上が伸びる /買い支えてくれるお客さん /自分に合った買い物サービ ス /利益か、社会貢献か /買い物弱者は透明な存在 /常連さんが来ない /「俺は応援しているね」 /「買い物なんて、文句言いしなするのがいいね」 /にこやか号に通ってくる理由 /郊外大型店が時代遅れになる日 /買い物弱者の声を誰が受け止めるのか /ソーシャルビジネスという可能性 /石の上にも五年

  

「あとがき」より

 移動販売車にこやか号とそのお客さんの日々を覗いて思ったのは、具体的な誰かを弱者とか難民とか呼ぶことの難しさです。呼ぶ側の立っている場所と目線がどこにあるかを問われるからだと思います。「弱者」とは便利な言葉ですが、そう呼んだ相手に責任をもって関わる覚悟や用意が呼ぶ側にあるか否かで、言葉の濃度や手触りがずいぶん違ってくる気がしました。弱者や難民と発した自分が試されているような感覚が、いつもつきまとうのです。

 もうひとつ考えたことがあります。大事は小事より起こるゆえ、小事を疎かにするなと言われます。でも両者のつながりを意識するのは結構たいへんです。むしろ、二つの距離を離すことで、問題の所在に目をつむりたがる場合がほとんどです。大事の上へさらに天下をつけて、小事の方へは日常をつけて、その関わりに知らぬ振りを決め込むのが、僕らは案外得意だったりします。(中略)

 問題意識と言ったら大げさです。ただ、取材の折にも書いているときにも、そんな思いが頭の隅にありました。たぶん、買い物弱者みたいな問題について語ろうとすると、自分の親や自分のふるさとの行く末について、向き合わざるを得ないことを認めることになるからです。

 書き手の事情はともかく、にこやか号のスタッフはじめ、泰成運輸の皆さんの奮闘ぶりには、同じ地域に暮らす身として頭の下がる思いがします。地域が抱える課題について、とにかく行動を起こし、地道に継続している人たちと出会えたことが、本書に取り組んだことのいちばんの収穫でした。

   

   

震災と過疎を越えて ~信州栄村 復興への歩み~

松尾真著 A5判343P(カラー口絵32P) 1905円(税別) 2012年8月発行

   

 2011年3月12日未明、震度6強の地震が長野県栄村を襲った。人口2300人弱の村で避難者1600人以上、全半壊181棟、道路や農地に甚大な被害を被った。

 東北の震災に隠れる形で、当初この地震に関する報道や支援が遅れ「忘れられた被災地」となる中で、地元NPO理事が村内・村外へ向けてブログとプリントで被害や復興状況を連日発信。今がまさに時代の転換点だとして、現代社会では片隅に追いやられた「集落の絆」と「農業再興」の重要性を訴え続ける。本書はその膨大なレポートから主要項目を厳選。過疎化・高齢化が進む地域における震災対応の先例集であると同時に、「中山間地域の再生」を模索する力強い提言集でもある。

   

カラー口絵

家屋の損壊/道路の被害/橋の被害/線路の被害/土砂崩れ/田んぼの被害/田んぼの復旧事業/地震から半年 

   

第1章 不安の中で(3.12震災~2カ月)

未明の大地震/建物診断始まる/長期戦になりそうな断水/一時帰宅の許可/ボランティアの受入れ態勢/集落の絆を守ることが大切/農業再建の具体的課題/栄村復興支援機構「結い」の活動/明日、避難指示解除/青倉公民館再建基金ご協力のお願い/むら復興ビジョンを集落から積み上げる/青倉の10世帯に避難勧告/心配な中条川上流の土砂堆積/家に戻れる人も交替で避難所に泊まる/復興へむけての情報発信/仮設住宅の建設が遅い/栄村復興支援機構「結い」新態勢へ/「東日本大震災」とは?/栄村は東日本大震災に含まれるのか?/「明日が見通せない」不安/栄村の雪解け水で動く東京のJR/菅総理から村長に電話/むららしい復旧作業の姿/信じられない県の発表/震災から1カ月/高橋甚治さん、村に戻る/新たな歩みへ、きっかけが必要/お宮の修復/青倉公民館の仮設建設へ急進展/県の復興支援方針について/村道斜面の亀裂が拡大し土砂崩れ(青倉)/飯山市静間にある「仮住居」/全壊31、大規模半壊11、半壊119/ボランティアの進化形/前村長・高橋彦芳さんの元気な姿/栄村に帰りたがっている子どもたち/青倉仮設公民館を開設/小滝復興委員会がスタート/仙谷官房副長官と懇談/専門家による「調査公害」/白水智氏らが文化財保全活動/極野のお宮の修復が進んでいます

   

第2章 立ち上がる栄村(震災3カ月~半年)

公民館の再建は緊急の課題/復興ビジョン委員会が必要です/「栄村の復興を考える会」開催/あの人が村に帰ってこられました/人口を減らさない!/国の災害復旧工事への疑問/3カ月目に考える復興ビジョン/青倉のこれからを考える/復興ビジョン懇談会がスタート/地盤被害対策の強化を求めます/東京の栄村支援者、栄村出身者/仮設住宅に入居して/土石流警戒サイレンの誤報/中条川の土石流対策説明会/青倉公民館の先行建設決定/「月刊栄村」ついに発刊!/文化財保全の活動に参加と支援を/小滝集落の活動/栄村復興支援アピールに共感する署名/3度目の魚沼水害復旧支援/飯舘村に心を寄せる/震災からの半年をふり返る 

   

第3章 復興への模索(震災半年~1年2カ月)

栄小学校の運動会/青倉公民館の基本設計が固まる/復旧の進み具合/復興シンポジウム開催/仮設住宅集会場がオープン/復興基金ができること/「おらほの集落は存続できるのか?」/阿部知事の来村/改めて被害の凄まじさを見る/泉平集落で盛大に収穫祭/乾燥機を数台ご提供ください/仮設住宅の雪囲い/平成の大合併と小さな漁村の復興/中条川上流山崩れの状況/〈番外編〉復興計画は急がなければならない/もっと早く復旧着工できなかったのか?/復興特区法と復興交付金/トマトの国がリニューアル・オープン/「老後の資金を使い果たした」/仮設住宅で新年の集い/小滝の新年会/村が「震災復興に関する意向調査」/地区単独の復興会議(大船渡市崎浜)/耳団子でお茶のみ会/復興計画策定委員会の第1回会合/視察はあるがままを見せるべき/被害は現在進行形/発災直後の避難についての検証を/写真展を開催します/青倉公民館再建基金の御礼/ご支援についてのお願い/被害額はいくら?/善光寺地震の記録文書発見される/青倉公民館の竣工祝賀式

   

カラーグラビア

栄村の人と自然/農のある風景/集落が丸ごと資源/古民家の佇まい/古道を歩く「むらたび」/ラフティング/むらの「ごっつぉ」/夏祭り応援むらたびツアー/雪山トレッキング/秘境 秋山郷 

   

第4章 住宅の諸問題(仮設住宅・修復・公営住宅)

住宅再建に関する貴重なアドバイス/多くの住宅が修復可能!/集落に2次避難所を/「村に帰れるのか」という高齢者の不安/伝統工法の特性を踏まえた調査判定を/罹災証明発行と仮設住宅入居申込/罹災証明についての疑問/全壊・大規模半壊でも立派に修復できる/仮設など住宅問題に対する役場の対応/住宅修理・再建は「自己責任」か?/集落内に公営住宅をつくる要望の具体化/古民家を修復して交流や民泊を/こんなふうに修復できる/住宅再建へ、さまざまな工夫/村営住宅希望者が山古志を見学/古民家の修復工事/無償での家屋解体は来年も継続へ/若者用住宅の拡充も「震災復興」/地盤被害の実態をあきらかに/復興村営住宅をどこに建てるのか 

   

第5章 農と田んぼを守ろう(田んぼの被害と復旧)

青倉作業班、すじ蒔き実施を決定/新たに判明した田んぼの被害/箕作ですじ蒔き始まる/田んぼの復旧事業はどのように進むのか/畜産業をなんとか再興させたい/農地復旧─栄村復興にむけた勉強会/農道の被害状況/復興基金がなぜ必要か/青倉・西山田農道の道直し/ビフォア・アフターの写真撮影/小千谷市若栃集落の教訓/田んぼの亀裂の深さを小滝で調査/田んぼの被害をどう見るか/青倉受託作業班「作付3割弱」を決定/甘く見るとこういう結果になる!/西山田の上の水路が仮復旧/農地復旧のあり方/農地復旧で画期的な前進/2枚の田んぼを1枚に/復旧査定での意外な発言/えのき茸栽培の復活/新しい牛舎が建ちました/田んぼの除雪/田んぼの復旧工事の状況はどうか?/等高線区画の圃場整備

   

第6章 もうひとつの災害(雪害とのたたかい)

いきなり一晩50~60センチ/仮設住宅の冬と雪/仮設住宅で初めての雪下ろし/大雪/仮設住宅での転落死事故/豪雪地の被災地/大久保集落の道直しと除雪/「道直し」ができていない青倉の道/集落で暮らす被災者の大変さ/栄村豪雪対策本部を設置/中条橋が落下/豪雪が強いるおカネの負担/核心を外すメディア報道/雪害救助員の活動/「困ったら電話しろ」と言われたが…/雪の怖さ/「雪害」とは何か/膨大な除雪費用/スノーロータリーのリース・共同利用を/除雪ボランティアを受入れてみて/道を割る/やっと春が来ましたね!

   

第7章 過疎山村の挑戦(地域資源を活かす試み)

復興支援のさかえトマトジュース/中山間地の復興とは/震災復興(支援)ツアーを実施しよう/お米の義援金付き販売を/小さな農業に生きる村/「水路支援+被害状況見学」ツアー/外とのつながり(交流)を活かそう/大久保集落でタケノコ狩り/栄村震災復興応援ツアー/むらで農業をやってみませんか/柳在家で30年ぶりのお祭り/栄村は丸ごと「資源」/「むらたび」を復興の牽引車に/栄中の親子がラフティング/集落資源を「仕事と所得」に/あんぼの家修復ワークショップ/古道を歩く「むらたび」の第一歩/日比谷ライブ&マルシェ/第一級の山城「仙当城」/多くの集落で道祖神祭り/むらの株式会社を創ろう/若者が集落で暮らせるために/残雪の「むらたび」

 

過疎地の震災復興、あるいは中山間地域再生モデルとは――あとがきに代えて

 中山間地域の再生モデルとなるという意味で、栄村が占める位置、役割には山古志を越えるものがあるのではないかと考えている。その最大の理由は、栄村が「平成の大合併」を拒否し、人口はわずか2300人弱でありながら、独自の自治体を維持しているからである。中越の復興支援員を務める知り合いがよく言われるのだが、山古志の復興の意義は大きいものの、やはり長岡市に吸収合併されてしまったがゆえに、過疎地・山村の再生モデルとしての姿が見えにくいという面があるのである。

 栄村に限らず、東北地方も含めて、過疎化が進行していた被災地で震災直後に真っ先に人びとの胸のうちに浮かんだことは、「これで人口が激減し、もう村・集落は消滅するしかないのでは」という思い、心配であった。

 こういう心配が生じるところに過疎地・山村の震災の深刻さがある。

 だが、栄村は震災から1年4カ月、当初心配されたほどの人口減は生じず、なんとか踏ん張っている。私が巡って見た限りでは、東北(三陸地方)でも小さな漁村集落の方が都市部よりもむしろ元気があるという感じがする。

 でも、やはり深刻である。

 過疎化と高齢化が重なっているからである。(中略)現在の過疎・高齢化がこのまま進めば、あと5~10年で多くの中山間地域が人の暮らす場としては消滅し、日本から《田舎》というものが消えてなくなることにすらなりかねないのである。(中略)

 田舎─中山間地域を「むら的な暮らし方」、「自然と人が共生する空間」として生き生きと再生していくことが現代文明の転換をきりひらいていくことになるのではないだろうか。そこに中山間地域の再生の途があるように思うのである。もちろん、条件不利の農地の整備のような復興策も大胆に進めていくことが必要だが、「現代文明の転換」という大志を抱きながら、震災復興─中山間地域の再生に取り組んでいくべき時代が到来していると思うのである。

  

  

長野県庁の「不都合な真実」~現役小役人 嘆きの内部告発~

小泉一真著 B6判239P 1400円(税別) 2011年4月発行/同6月3刷

  県庁の病巣が、ここにある!  

  現役県職員が、ここまで書いちゃ、ダメですか?   

  にほんブログ村「公務員日記」首位独走のブログに大幅加筆

 長野県庁に勤めて18年。人事課・広報課・行政改革課など県庁中枢部署の、保身のバリア……。制度はあれども、運用が破綻……。内部からの提案・疑問は放置……。職員用電子会議室へは「書かせるな」という圧力……。こんなセコい仕事振りでは、自力で改革などできるわけがない。

 いつか理解される日が来ることを信じて、提言を繰り返した末に、ついに小職はサジを投げた。もう県庁組織に遠慮するのは、やめようと。そしてブログで外から発言を始め、本書を書き下ろした。その方が、まだはるかに県庁改革の現実性があり、県民の利益になる、と確信する。

   

小泉 一真(こいずみ・かずま)

 1966年ひのえうま生まれ。長野県長野市出身・在住。1992年長野県庁入庁。長野オリンピック組織委員会派遣、信州・長野県観光協会派遣等を経て、現在北信地方事務所にて奉職。2006年長野県職員提案により知事表彰。2010年ブログ【長野県庁 vs 小役人】http://naganokencho.blogspot.com/ 執筆開始。

    

第1章 情報公開のダブルスタンダード

制度は100点、運用は0点の「目安箱」

情報公開請求で揺らぐ伏せ字の根拠

愚かな県民(?)に「報せない」広報課

一部非公開決定に「異議申立て」

なぜ行政は隠したがるのか

統率のない情報公開制度

   

第2章 これでいいのか 観光立県

全国最低40%という観光満足度の怪

長野県庁だけが自己満足する満足度調査

ジビエを「食」のキラーコンテンツに

フィルム・コミッションを公約にしたけれど

主役は大河ドラマから「聖地巡礼」へ

聖地巡礼の誘発と売り込み

   

第3章 三人の知事 その虚と実

初日から空回りの阿部守一知事

情報公開に本気なのだが

つぶやく「ツイッター知事」

信州型事業仕分けをめぐる攻防

村井仁氏の二面性と腹芸

村井流ガソリン等価格表示認定制度

クレーマーに媚びるな?

田中康夫氏という消せない残像

仕分けすべきだった「独裁者」の政策

ガラス張り知事室でのプレゼン

人を信じない人事とある職員の死

    

第4章 行政改革を妨げる壁

文書主義という紙の上のダンス

行政改革課の“行革”マジック

職員提案制度と起業家精神

歳入UP、歳出DOWN大作戦の放置

職員提案は二度死ぬ

無敵の人事課マジック

    

●小職コラム

ガサ入れが来た/長野オリンピックのピンバッジ/ケースワーカーのつらさ/報道されない石油関係団体との「協働」/「なんちゃって議員」のススメ/トライアングル人事/「財源開発室」大作戦/そこまでするの! トイレ協力金

   

   

町会福祉ぶんぶん奮戦記 

~信州松本 宅幼老所「愛ぶんぶん」と町会で輝く女性たち~

福島昭子著(対談・玉井袈裟男) 四六判・207P 1400円(税別) 2009年1月発行

   

介護保険に頼らず、100歳の利用者も元気に働く松本市蟻ヶ崎の宅幼老所「愛ぶんぶん」。「おやき」と組紐細工の人形で“利益”を上げる自主運営の宅幼老所は、介護予防につながる地域福祉のモデルとして全国的な注目を集める。しかし、ここに至るまでには、町会(自治会)における長年の奮闘があった。普通の専業主婦が一念発起して町会にデビュー、町会長に就任して「共助」の理念のもと「福祉の町づくり宣言」を発した経過を当人が激白。地域福祉、女性の社会参画、住民活動に関する類例なき実例バイブル。

   

はじめに――聞き手の弁(玉井袈裟男)

    

第1章 介護保険に頼らない宅幼老所 「愛ぶんぶん」

配食サービス「あいの会」のお弁当づくり/助け合いネットワーク「あ・うんの会」/宅幼老所「愛ぶんぶん」の開設/「ぶんぶんおぼこ」と「おやき」/「愛ぶんぶん」を観光名所に/“地域づくり”は仲間づくり/「一番番頭」の鈴木岳夫さん

<コラム>お弁当の責任者 大澤みどりさん/100歳でも働ける喜び 袖山あやゑさん/利用者・支援者が語る「愛ぶんぶん」

   

第2章 専業主婦の開眼

子育てを終えて気がついたら/ボランティア講座への誘い/本との出合い、人との出会い

   

第3章 町会デビュー

酒二升で青少年補導員?/女性の足を引っぱる女性/配食や会食に縦割りの壁/婦人部長として町会役員に/福祉グループ「蟻の会」結成

   

第4章 女性町会長誕生

公民館建設に周辺住民が猛反対/町会長の途中辞任/「女にしてやる」「男にしてやってくれ」/女性たちの支えで公民館建設問題収拾/寄付活動でまとまる町会/晴れて公民館竣工

   

第5章 福祉の町づくり宣言

公民館に「ふれあい室」/「福祉の町づくり宣言」の唱和/自助・共助・公助の歯車/子育て支援活動「ありんこアント」/町内にSOS110番窓口/開業医が公民館長に/地域福祉づくり先進モデル町会に/防災危機管理との連携/新しい公民館のありかた/地域の歴史を知る

   

第6章 地域内分権(都市内分権)の未来

松本市の市議会議員選挙に立候補/行政は誰のためにあるのか/地方分権の意味/松本市の地域内分権/支所や地区公民館を住民自治の拠点に/実践の中から自立を/町会の役を受けてみる

    

●「あとがき」より

 私は子育てが終わるまでは、ごく普通の主婦として暮らしてきましたが、ひょんなことから女性の町会長という大それたことをするはめになってしまいました。そして現在は松本市の市議会議員を務めています。でも私は、町会長になりたかったわけでも、市議会議員になりたかったわけでもないのです。それは、私の住む町を自分にとって「住みたい町」にしたいという願いの結果にすぎません。

 蟻ヶ崎西町会の福祉活動の原点となった「蟻の会」は、平成3年(1991)の結成以来ひたすら自分たちにとって「住みたい町」にしたい、住んでいる人に「喜ばれる町」にしたい、という一心で福祉活動を続けてきました。しかし、地域に貢献する活動も、それまでの男性が中心の町会ではなかなか認められませんでした。

 ですが、地道な活動を続けるうちに、しだいに仲間の輪が広がり、同じ考えを持つ人たちが増えていきました。そして思いがけない出番が回ってきただけなのです。以後、私は「地縁大家族主義」を掲げて町会活動を進めてきました。そして到達したのが配食サービス「あいの会」であり、宅幼老所「愛ぶんぶん」なのです。

 昔の地域社会はお互いに助け合うことが当たり前でしたが、最近の日本を見るとそうした近所付き合いもなくなり、お互いに関わり合うのが煩わしくなってきて、それぞれの家庭に閉じこもったり、個人主義を通しています。

 私は小さいときに、親がどうして自分の家の田植えをしないで、よその田植えをするのかと思ったことがあります。そのとき私の親は、「隣の家の人は入院したのだよ。だから一番最初に田植えをしてやらなければいけないのだよ」と教えてくれました。近所のみんなで隣の家の田植えをしていたのです。

 それが社会というものを感じた一番最初でした。「ああ、そういうことだったのか。困ったら助け合うのか」と、田んぼの畦でお茶を飲みながらその話を聞いた情景が、今でも鮮明に思い出されます。小学校の低学年のときのことでした。(中略)

 これからの社会は全体に貧乏になることは目に見えています。しかし、お金以上の価値が「人間の絆」であるという社会をつくっていけば、少ないお金でも幸せに暮らしていけるのです。

 私がこれまで福祉を中心に据えて進めてきた地域づくりの実践が、現在、国や地方自治体が進めようとしている地域内分権(都市内分権)型社会の受け皿として、認められてきていることに心を強くしています。私たちの社会の進むべき道がようやくはっきりと見えてきたように思います。(後略)

 

福島昭子(ふくしま・あきこ)

昭和7年(1932)長野県東筑摩郡麻績村生まれ。昭和60年、松本市社会教育ボランティア養成講座をきっかけに住民自治に参加。民生児童委員、蟻ケ崎西町会長、松本市婦人問題懇話会委員、松本市福祉ビジョン懇話会副会長、長野県男女共同参画推進委員、まつもと男女共生市民会議代表などを歴任。現在、松本市議会議員、長野県共同参画をめざす会会長、長野県立松本美須々ヶ丘高校同窓会長、蟻ケ崎西町会相談役、ふれあいお弁当づくり「あいの会」代表、宅幼老所「愛ぶんぶん」代表。著書に長野大学産業社会学部編『地方自治とまちづくり』(共著・郷土出版社)。

   

   

水の始発駅から ―第9回全国源流シンポジウムin木祖村記録集―

第9回全国源流シンポジウム実行委員会編 A5判159P 1400円(税別) 2008年12月発行

   

1 シンポジウム報告

●基調講演(塩野米松・作家)

消えゆく森の技術が語るもの 

葛布やアケビ細工に宿る汗と技/消えゆく箕や行李にひそむ知恵と技術/手仕事と共助・再生/森の技術が未来を指し示す 

●基調提言(高橋裕・東京大学名誉教授)

流域単位で考える共通認識の醸成を 

木曽川上流下流の結びつき/気候変動と流域/自然との共生と近代化・効率主義/全体の見方を養う環境教育

●特別報告(1)山梨県道志村

大都市と山村の補完し合う連携

●特別報告(2)国土交通省湯西川ダム工事事務所

水陸両用バスでダム湖を観光資源に

●特別報告(3)奈良県川上村

「川上宣言」に基づく「源流学」で水源の村づくり

●パネルディスカッション

源流の魅力は流域の宝 

第1回「森の名手・名人」/地名に込められたメッセージ/名古屋城本丸御殿を木曽材で/キーワードは「つなぐ」「ひろげる」「学ぶ」/地域一丸で取り組む「水の始発駅フォーラム」/国有林のヒノキ、民有林のカラマツ/観光に必要な「人の繋がり」/ネットワークのハブ機能/地球温暖化と渇水リスク/資源循環を通じた上流・下流の結びつき

■コーディネーター(司会) 宮林茂幸(東京農業大学地域環境科学部教授)

■パネリスト 中嶋章雅(国土交通省河川局河川環境課長)/山田雅雄(名古屋市副市長)/中村文明(全国源流ネットワーク代表)/巾崎理一(森の名手名人)/山登由紀子(農協観光大阪支店)/澤頭修自(実行委員長)

●「木曽川源流の里」宣言

●次回開催地あいさつ 奈良県天川村村長 車谷重高 

●木曽川源流エクスカーション(体験型見学会)

原始の森から流れる水を追って/源流の川辺と薮原の町並を歩こう/里山文化を子どもたちに伝えたい/間伐材を使いましょうA/源流と高原の恵みを利用した産業にふれてみよう/木曽川源流トレッキングと味噌川ダム探検/樹齢550年のサワラと森を守ろう/旧中山道をしのぶ鳥居峠越え/もうひとつの水源、霊峰と壮大な高原を巡る/木曽川の水辺で遊ぼう/木曽川の源流をカヌーで散策A・B/間伐材を使いましょうB

●全国源流シンポジウムのあゆみ

   

2 補考 源流の歴史と未来

●木曽の歴史と民俗 澤頭修自(シンポジウム実行委員長)

●木曽地方の森林と林業 巾崎理一(木曽森林の会会長・指導林家)

●平成の名水百選「水木沢」の自然 木祖村自然同好会

●私の林業経営と「森の名手・名人」 巾崎理一(木曽森林の会会長・指導林家)

●歴史・文化を踏まえた自立の村づくり 澤頭修自(シンポジウム実行委員長)

●多摩川流域研究所と多摩川源流大学の試み 中村文明(全国源流ネットワーク代表)

   

    

●パネルディスカッションより

 源流が抱えている一番の問題は何なのかというと、やはり人口がどんどん減って、仕事がなくて、若い人たちが都会へ流出していく、これが一番大きな悩みになっています。今日、山や森を源流に住む人だけでは守れない時代にあるんだということを、流域の人はまずしっかりと知ってほしいというのが根底にあります。では、住む人たちだけでは守れない源流とはどういう所なのか──。

 これから20年先30年先を考えていけば、地球環境問題がますます厳しくなって源流にある水や森というものが人間にとって、日本国にとってどんなに大事なのかということはだいたい想像がつくと思います。国民共有の財産として水や森がかけがえのない値打ちを持つ時代が必ず来る。

 では、その国民共有の財産、宝をどうやったら守れるのか──。それは今日もいろんな立場の方々が発言をされてきたことだと思うんですが、まず源流が元気になること。流域の人たちだって私たちがこれだけ頑張ってるのに源流はどうなっているんだろうかと想いを寄せ、源流が元気になってほしいと期待します。そして、源流に住む人たちと源流から恩恵を受ける人たちが協同で源流の資源を守っていく、源流の文化や歴史をみんなで学んでいく、こういう参加と連携と協働の源流作りということが一番大事ではないかと思っています。(中略)

 では、その中でどんな取り組みが必要なのかというと、ひとつはやはり源流にある資源を活かすという作業を流域の生活の中で出来ないかということです。流域で、例えば水を飲んでもらう、木を使ってもらう。現地で使ってもらうことで源流の郷が、源流の森が元気になる。(中略)

 その時に源流の木を使ってもらうと、今度は源流域の森が明るく元気になる。木祖村では積極的にはカラマツを使って木の椅子や机を流域の小学校で使ってもらうモデル事業が始まっていますが、資源循環を通じて上流と中下流が深く結びつく、こういう方法を今から私たちはいろんな知恵を出して考えていく必要があるだろうと思います。(中村文明氏)

   

   

長野五輪 歓喜の決算 ー肥大化五輪への批判と提言ー

江沢正雄ほか著 四六判 269p 1750円(税別) 1998年4月初刷

新聞・テレビが報道できない商業主義の真相

    

知らぬは県民ばかりなり! ~招致から開催までの経緯と諸問題(江沢正雄)   

シンポジウム報告 

 1 リレハンメルと長野における民主主義の差異(ダグ・レオナルゼン)

 2 IOC委員の腐敗構造(谷口源太郎)

 3 生態系および地域社会に関する調査と提言(ピーター・バーグ)

 4 ミヤマアオイ・ラン科植物にみる移植の実態(矢崎利和)   

 5 区(自治会・町内会)にみる翼賛性と全体主義(徳武正司)

 6 外国人労働者と長野五輪(中村葉子)      

 7 小谷村土石流・浅川ダムの災害と長野五輪(内山卓朗) 

歳出10%カット以外に借金返済の途はない! ~長野市の財政運営と招致運動の実相( 今井寿一郎)

現地報告1●長野市編(野池元基)

 環境五輪が生んだエネルギー浪費都市の後始末 ~五輪によるエネルギー消費の増大と環境施策のお粗末さ  

現地報告2●大町・白馬編(寺井篤樹)

 上意下達の巨大イベントから内発的地域づくりへ ~認識を欠いた「費用対効果」と「優先順位」    

現地報告3●山ノ内編(千葉明日香) 

 岩菅山へのこだわりと16日間 ~子どもたちとボランティアを見つめながら  

現地報告4●北信編(渡辺隆一)

 まったく達成されなかった「自然との共存」 ~北信地域の環境変化と自然観  

現地報告5●南信編(清川博明)

 お祭り騒ぎを支える貧しきスポーツ文化 ~雰囲気づくりキャンペーンの内実  

シナリオ&コラム●(友田三津夫)

 判断を放棄したままの「感動」 ~市民生活とオリンピックの中身 

県議ふしぎ発見

長野県議会チェックフォーラム編 B6判221P 1500円(税別) 2003年3月発行

【議員報酬編】

1、報酬 

2、旅費 

1議員滞在費/2議員応招旅費/3正副議長旅費/4委員会活動旅費/5正副委員長会議旅費/6各党派代表者会議旅費/7議会広報委員会旅費/8海外渡航旅費/9支度料

3、議員年金 

4、政務調査費 

【海外視察編】 

全米桜祭り親善交流視察団/吉田前議長の欧州視察/知事の監査請求/「凍結期間が終われば海外へ行く」 /「不当とはいえない」というタマムシ色の監査結果/子どもの修学旅行か?/海外視察・政務調査費に関する申し入れ/議員に甘い監査委員/国内視察もどこか変 

K嬢の長野県政ウォッチング日記

K嬢著 四六判 262P 1333円(税別)2002年8月発行

県会議員の旧弊とマスコミ報道の硬直さが浮き彫りに。しがらみのない市民による県政診断書。

田中県政への提言 ー長野県 新世紀ビジョンー

川辺書林編 A5判136P 1200円(税別) 2000年12月発行

「震災と過疎を越えて」表紙
「長野県庁の不都合な真実」表紙
「町会福祉ぶんぶん奮戦記」表紙
「水の始発駅から」表紙
「長野五輪 歓喜の決算」表紙

​飯山線信濃平駅前の菜の花

​大糸線信濃森上駅北側から北アルプスを望む

​高原野菜の畑中にある小海線佐久広瀬駅

​絶壁にへばり付く飯田線田本駅

​ダム湖と化した天竜川河畔にある飯田線為栗駅

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